自然エネルギーによる新しい発電方法を考える

一関高専専攻科2年の佐藤宏夢さんは、自然のエネルギーを用いた新しい発電方法の実現を目指し、「MiTOHOKU Program」に採択。彼が注目した新しい発電方法とはどんな方法で今後どのように実現しようとしているのか、お話を伺いました。

目次

自然エネルギー発電の「想像」を「創造」へ

私が自然エネルギーを用いた発電に強く関心を持ったきっかけは、今から4年前、高専の3年生だった時の講義で扱った自由研究でした。「自分が気になる技術を調べてみよう」というテーマが与えられ、私はある発電方法を調べて発表。当時は発表までで終わっていたのですが、それから2年後、ひょんなことからこのアイデアがよみがえります。

それは、知的財産の授業で扱った、「身の回りの課題の解決策を考えてみよう」という授業。そこで電気代の高騰の課題を知り、環境によい発電方法を調べていたところ、2年前に出会ったある発電方法を思い出したのです。

太陽光発電など再生可能エネルギーの拡大が見込まれる中、安定してエネルギーを利用することが求められています。また、地球温暖化などの環境問題を解決するためにも、環境に優しい発電方法については社会的なニーズがあります。

私が実現したい自然エネルギーを用いた発電方法は、まだ実用化には至っておらず、想像の中のものです。MiTOHOKU Programに参加し実用化されていない技術を実現するための何らかのきっかけや、実現に向けた道のりを知りたいという思いで、応募を決めました。

MiTOHOKU Programでの挑戦

私が着目をした発電方法は、「雨」。授業で環境によい発電方法を調べていた時、身近にあって「押す力」を持つものとして「雨」の存在を考えました。

「雨」という発想の原点は私が生まれ育った環境にあります。私の出身地は宮城県栗原市。奥羽山脈の中央部・標高1,626mの栗駒山のふもとに広がる自然豊かな環境で育った私は、雨や風など天気のちょっとした変化を身近に感じてきました。晴れた日には青空と山並みが見渡せ、雨が降れば水たまりができ、川の水量が変化する。そんな変化を感じながら育ってきました。

とはいえ、雨を利用した「雨滴発電」については、世界各国で構想や研究は進められているもののまだ実用化には至っていません。私もMiTOHOKU Programの期間中に雨滴発電についての研究や実証を行いましたが課題も残りました。

最終発表会のスライドには「雨×発電で身近なhappyを増やす」というフレーズを発表。雨が降るとどんよりした暗い気分になる人が多い中、もし雨の日に発電出来て地球温暖化の解決につながれば、ハッピーになる人も増えるのではないかと考えています。

MiTOHOKU Programから得た学び

プログラム中に訪れた中国研修では、最先端の研究を行う現場を見ることができ、研究開発や収益性を十分に考慮してから商品化を進める日本と比較すると、作りたいものを先に作るという中国のスピード感に圧倒されました。

また、現地での意見交換では「中国には年間300日雨が降っている場所がある。太陽が出ないので太陽光発電は難しい。このような地域では雨滴発電の可能性があるのではないか」という指摘をもらい、海外での実用化の可能性に驚きました。

私は高専を卒業後、一般企業へ就職をします。もともと、雨滴発電のプロジェクトについては入社して数年してからやってみようかなと思っていましたが、MiTOHOKU Programで見通しが明確になったため、今のうちから行動し、入社直後から新規事業として提案していきたいです。特に計画力・決断力・実現力はもっとギアを上げて高めていきたいと思っています。

 

MiTOHOKU Programとは

「MiTOHOKU Program」とは、東北にゆかりのある未踏的若手人材を発掘・育成するプログラムです。「起業家・専門家集団による伴走支援」により、若手人材の「前人未踏」のアイデア実現を支援します。

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この記事を書いた人

探究百科GATEWAYの編集部です。高校生の「探究」に役立つ情報や探究分野の解説、探究の方法について発信します。

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