答えのない問いへのアプローチ10 社会と学校の架け橋としての学び

  前回は、「自己の在り方生き方と一体的で不可分な課題」について、自己のキャリアとの関連付けを考えました。今回は、リフレクションとアンラーンについて考えます。実は、毎回の最後にリフレクションを行っています。リフレクションは学校現場で、授業や単元の一番最後に「感想を書いてください」、「今日の良かったことや悪かったこと」を書いてくださいと先生から指示されることがあると思います。実は、それにはリフレクションではなく、単に感想や反省レベルの場合もあります。

リフレクションとは、「自分自身について、客観的に行動や考え方を振り返り、考え直すこと」です。感想は、客観的というよりも自分自身の「感情面」での振り返りになります。

 今回はO R I D法で、今まで行ってきた探究学習についてリフレクションしていきます。ORID(Objective, Reflective, Interpretive, Decisional)メソッドは、ICA(Institute of Cultural Affairs)で開発されたファシリテーション技法であるとされています。事実確認からスタートして、感情や解釈を考え、次の行動に移すことで、より深い内省を実現していくことになっています。

Objective(事実)                    ①探究活動を通して、あなたが印象に残っていることや自分がどのような行動・発言をしたか?


Reflective(反省や感情)② ①を通して、あなたが楽しい(難しい)と感じたこと、気持ちの変化はありましたか?


Interpretive(解釈)③ ②を通して、あなた自身が大切だと感じたことや学んだことは何ですか?


Decisional(決定)④ ③を通して、あなたが考えた次への学びのステップや行動は何ですか?


どうでしたか?自分の探究活動の学びが少し深掘りされたのではないでしょうか?このO R I D
は、事実を自分の体験として掘り下げ、自分が行った経験の意味づけをして、より深く内省を促していくリフレクションです。探究活動で大切なことは、問いをつくることとリフレクションになります。これは総合的な探究の時間のみならず教科学習にも応用できますので常に活用することを意識してみてください。

さて、現在のV U C A時代を生きている皆さんは、生涯を通じて学びを続けていくことになると思います。学びは多くの「インプット」、そしてそこから生まれる「アウトプット」が大切になるとされています。しかし、学びを深めていくと自分自身の思考が固まってしまう危険性もあります。そこで、大切になるのが「アンラーン」です。アンラーンは、学んだだことを忘れることではなく、自分自身が当たり前と考えていた思考の固まりを捨て去ることです。

 それでは、これまでの探究学習の一部をアンラーンし、他の視点を入れてより良いものの見方や考え方を手に入れていきましょう。文章でも語句でもいいので思ったことを考えてみましょう!

①あなたが取り組んできた探究学習で「無意識」のなかで活用していたものは何ですか?

②「いつもは〜」「普通は〜」「〜べき」などで話していたものがあるか考えてみて下さい。

③あなたが取り組んできた探究学習は、あなたしかできないものですか?

④あなたが取り組んだ探究学習の内容は、他の視点からアプローチできませんか?

⑤あなたが行った探究学習の中で、もっと深めたいという視点の内容はありますか?

以上のように自分の行ってきた学びを全て捨てるのではなく、一部を別な視点から考えてみるだけででその内容が違うものとなる可能性があります。リフレクションで自分の未来への足場かけをし、それにプラスして少しだけ自分の思考の癖を取り除くと別な新しい学びの姿がきっと見えてくるはずです。そして、その時に活用するのは対話型ファシリテーションというスキルです。今回はファシリテーションスキルについては記載しませんが、垂直的なファシリテーションと水平的なファシリテーションの中間にあるファシリテーションの形を何かの機会にお話しできたらと思っています。全10回にわたる連載は以上ですが、また何かの機会に次の学びのツールをお話しできたらと思います。

それでは、リフレクションを行います。
※文章でなくても構いません。文章が苦手なら、単語でも絵でも何でも構いません。自由に思いつくまま書いてください。

1 今回の学びで皆さん自身が発見したことを考えてください。



2 今回の学びで皆さんが一番印象に残るくらい新しく発見したことは何ですか?

   

3 2の時、皆さんはどのようなことを思いましたか?



4 今回、学んだことを皆さんはどのように今後に活かしていきたいですか?



 

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この記事を書いた人

探究百科GATEWAYの編集部です。高校生の「探究」に役立つ情報や探究分野の解説、探究の方法について発信します。

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