探究分野解説「国際」

グローバル化の進展で、留学や就職で海外に行くことが身近になり、日本で暮らす海外の人たちも増えています。一方世界には、紛争や難民など解決すべき問題もたくさんあります。日本と世界のかかわりは今、どうなっているのでしょうか。

目次

探究テーマ「国際協力とSDGs」

国際協力とは、国際社会全体の平和と安定、発展のために、開発途上国・地域の人々を支援することです。また、SDGsとは、「持続可能な開発目標」のことで、「誰一人取り残さない」という理念のもと、「持続可能な世界を実現する」ことを目指した包括的な目標のことをいいます。

国際協力とは

世界には196の国がありますが、そのうちの150か国以上が開発途上国と呼ばれる国々です。開発途上国の多くは、貧困や紛争といった問題を抱えています。

日本は開発協力の目的を、(1)開発途上国との対等なパートナーシップに基づき、開発途上国の開発課題や人類共通の地球規模課題の解決に共に対処し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の下、平和で安定し、繫栄した国際社会の形成に一層積極的に貢献すること、(2)同時に、日本と世界にとって望ましい国際環境を創出し、信頼に基づく対外関係の維持・強化を図りつつ、日本とその国民の平和と安全を確保し、経済成長を通じてさらなる繁栄を実現するといった日本の国益の実現に貢献すること、としています。

外務省『(ODA)ODA白書、参考資料集、年次報告』
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/23_hakusho/honbun/b0/hajimeni.html

SDGsとは

貧困や不平等、気候変動、環境劣化、繁栄、平和と公正など、私たちが直面するグローバルな諸課題の解決を目指します。

SDGsの目標は相互に関連しており、2030年までに17の目標・169のターゲットを達成することが重要です。

1.貧困をなくそう
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

2.飢餓をゼロに
飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

3.すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する

4.質の高い教育をみんなに
すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

5.ジェンダー平等を実現しよう
ジェンダー平等を達成し、すべての女性と女児にエンパワーメントを図る

6.安全な水とトイレを世界中に
すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する

7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する

8.働きがいも経済成長も
すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用及びディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する

9.産業と技術革新の基盤をつくろう
強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る

10.人や国の不平等をなくそう
国内および国家間の格差を是正する

11.住み続けられるまちづくりを
都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする

12.つくる責任つかう責任
持続可能な消費と生産のパターンを確保する

13.気候変動に具体的な対策を
気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る

14.海の豊かさを守ろう
海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する

15.陸の豊かさも守ろう
陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る

16.平和と公正をすべての人に
持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する

17.パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

探究テーマ「異文化理解」

異文化理解とは、異文化を理解することだけではなく、自身の文化を理解して他の文化や価値観を受け入れることをいいます。異文化を理解することで、他者を受け入れて尊重し、協力する能力を身に着けることができます。

異文化理解とは

最初に述べたように、異文化理解は単に異文化を理解することを指すのではありません。他の文化や価値観を理解し、受け入れるために自身の文化を理解することを前提にしています。まず、自身の文化とは何かを理解することからはじめましょう。

文化とは、特定の社会、または、社会集団に特有の精神的、物質的、知的、感情的特徴をあわせたものです。また、文化とは、芸術・文学だけでなく、生活様式、共生の方法、価値観、伝統及び信仰を含みます。つまり、日本の文化といっても、さまざまな文化があるのです。同じ日本といっても県ごと、地域ごとの文化があることを考えると、日本国内だけでも異文化理解の機会があると考えられるのではないしょうか。

文部科学省『文化的多様性に関する世界宣言』
https://www.mext.go.jp/unesco/009/1386517.htm

国際教育について

国際教育とは、「国際社会において、地球的視野に立って、主体的に行動するために必要と考えられる態度・能力の基礎を育成する」ための教育のことをいいます。そのねらいは、自己を確立し、他者を受け入れ、共生しながら発信し、行動できる力を育成することにあります。

国際社会に通用する主体性や発信力は、体験的な学習や問題解決的な学習などを通じて、ものごとに柔軟に対処する力や問題解決能力、コミュニケーション能力などを身につけることによって育成されていきます。そのためには平和、人権、環境、開発などの地球規模的課題や今日的課題を身近な課題として認識し、学習することが大切です。

国際教育のねらいには異文化理解と通ずるところがあるため、国際教育は異文化理解力向上に有効だと考えられます。

文部科学省『国際教育の意義と今後の在り方』https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/026/houkoku/attach/1400594.htm

ステレオタイプについて

ステレオタイプとは、「〇〇出身の人は礼儀正しい」や「△△の国の人は時間を守らない」といったイメージでひとくくりにしてしまうことです。ステレオタイプは個人の特性や経験を無視しているといえるでしょう。これは、偏見や差別につながります。

異文化理解のためには、こうしたステレオタイプにとらわれないことが重要です。ステレオタイプにとらわれないようにするには、実際に自身とは異なる背景をもつ人との交流をすることが有効です。これは、直接、異文化理解につながると考えられます。

異文化を理解するためには、こういう人だろう、きっとこうだという先入観をもたずに異なる文化で暮らす人と交流し、実際はどうなのかを受け入れることが大切です。

「国際」の探究に役立つWEBサイト

外務省 「国・地域の基礎データ」 


「国・地域」に関する基礎データは外務省のページで確認してみよう。各国の人口・歴史に関する情報や政治や経済に関する情報、日本とのかかわりなどがまとめられている。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html


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この記事を書いた人

探究百科GATEWAYの編集部です。高校生の「探究」に役立つ情報や探究分野の解説、探究の方法について発信します。

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