問いづくりのポイント6 社会と学校の架け橋としての学び

 前回までは探究サイクルの問いを立てるところを具体的に考えてリサーチクエスチョンを導いてきました。今回は探究関係の戦略を考えていくことになります。

 まずは、皆さんのグループで考えたリサーチクエスチョンを再度確認します。

グループで考えたリサーチクエスチョン


それでは、この探究を進めていく上で何点か確認していきますので頭の中でイメージしてみて下さい。事例としてバックキャスティングの思考方法で説明していきます。

①自分の在り方や生き方とどのように関係していますか?

②このリサーチクエスチョンがクリアした場合の理想の姿をイメージできますか?

③このリサーチクエスチョンを行う上での今の現状をイメージできますか?

②と③のギャップが皆さんの考えた小さな問い(課題)の課題解決方法になります。大きな問いの中に小さな課題があり、その小さな課題の中にもさらに小さな課題が潜んでいます。それをしっかりと認識する必要性があります。

 さて、皆さんの探究活動は、探究の過程を高度化し、そして自律化させていく必要性があります。実際にフィールドワークしたり、ヒアリングしたりなど多くの情報を収集していくことが必要です。

探究の高度化や自律化していく一つの方法として今まで問いづくりを行ってきました。それでは皆さんが考えたリサーチクエスチョンからどのように探究活動を行っていくのかという一例を確認していきましょう!

目次

STEP1 皆さんのリサーチクエスチョンとして立てた課題を実社会にどのようにアピールしていきますか?次の順番で考えてみてください。

 ①リサーチクエスチョンのHAPPYの姿を達成するために、どのような目標を設定しますか?

 ・ベンチマークとしてどのようなものを行っていくか?

 ・商品化するとしたらどのようなものがあるか?(実社会の課題解決は企業と関 係[1] を構築しながら進める)

 ・クライアントとしてどのような人たちがいるのか?

 ・商品化しなくてもどのようなサービスを展開していけるか

 などグループで自由に話し合ってみて下さい。



②上記の①を実施していく上で、どのような手法があるのか?


③②の手法を行う上でどのような先行事例があるか?もしくは、関連する書籍はどのようなものがあるのか?最低でも5つくらいは探してみて下さい。論文を検索するには、「Google Scalar」が有名です。


 ①〜③までの情報を集め、実際にフィールドワークやマーケットリサーチ、実験などを行っていくことになります。実際にどのようなことをすれば良いかはケースによって異なりますので、学校の先生やその他、皆さんの探究を進めていく上で信頼できる方と相談して下さい。


STEP2 ターゲットを考える

 皆さんが立てたリサーチクエスチョンを達成していくために、実際にどのような人をターゲットにしていくかを考える必要があります。私が探究活動でターゲットを考える時によく話しているのが「エクストリーム・ユーザーを考えて」ということです。例えば、皆さんのリサーチクエスチョンが「地域の子育てのために妊婦さんの支援を考える」というテーマだったとします。このテーマをかん上げる時に自分の地域の妊婦さんの支援は簡単にリサーチできると思いますが、探究の活動を深化させていくためには「比較・類推」することを行ったりもします。それでは比較する子育てのための妊婦さんの心配事を考える時に次のような事例を考えると探究の視野が広がると思います。

①都市部の妊婦さん  ②地方の妊婦さん  ③離島の妊婦さん  ④外国人の妊婦さん

と考えると必要とする支援が違うことに気が付きませんか?

皆さんの考えたリサーチクエスチョンを達成していく時に、エクストリームユーザーをどのように検討していくのかを考えてみると面白い出口が見つかると思います。


STEP3 戦略を練る

 皆さんが集めた情報をもとにどのようにリサーチクエスチョンの内容をアピールしていくかを考えていきます。ここではストーリーティングボードを活用していきたいと思います。皆さんの探究活動をどのようにアピールしていくのかを戦略ミィーティングしてみて下さい。いつ、どこで、何を、誰とどのようにしていくのか。そして、それが本当にリサーチクエスチョンの「Why」をクリアできるのかをグループの皆さんでディスカッションしてみて下さい。



STEP4 ストーリーティングボードを描く

 皆さんのグループで考えたことを6枚以内のストーリーで語るためのプロトタイプを勘あげてみて下さい。ストーリーティングボードのどこの場所で何を語り、どのような情報を掲載するのかを考えてみて下さい。これをもとにプレゼンテーションを作成して探究の成果を発表していくことになります。(プレゼンテーションの方法は次回で紹介していくと思います)










メモ


 次回は皆さんのプレゼンテーションを深めることについて学んでいきたいと考えています。プレゼンテーションの発表は「ピッチ型」プレゼンテーションが聴衆の心に響くと思います。

 

 それでは、リフレクションを行います。

※文章でなくても構いません。文章が苦手なら、単語でも絵でも何でも構いません。

 自由に思いつくまま書いてください。

1 今回の学びで皆さん自身が発見したことを考えてください。


2 今回の学びで皆さんが一番印象に残るくらい新しく発見したことは何ですか?


3 2の時、皆さんはどのようなことを思いましたか?


4 今回、学んだことを皆さんはどのように今後に活かしていきたいですか?


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この記事を書いた人

宮城県の公立高校教員として23年間勤務したのち、2024年4月より宇都宮海星学園星の杜中学校・高等学校で勤務。

指導の核としてパブリック・リレーションズの考えをもとに生徒たちに「生きやすさ」を考える授業の展開を心がけている。経済産業省「未来の教室」アイディアソンやJICA主催公開セミナーにて事例発表等にも選出された。また、探究関係の教材開発協力や授業づくりで多くの学校で講演を行っている。地理歴史・公民科教諭。

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