
株式会社sharedは生徒の生活に伴走する独自メソッドのもとオンライン塾「168塾」を運営しています。最終発表会のプレゼンテーションが評価され、最優秀賞・オーディエンス賞をダブル受賞しました。
MiTOHOKU Program期間中に取り組んだのは、その指導に使う完全オリジナルのWEBアプリ「168share」のアップデートでした。実は当初は別のプランも検討していたというshared。MiTOHOKU Program期間中にどんなことに気づき、なぜアプリ開発に注力したのか、お話を伺いました。

本当にやりたいことは、生徒のためのアプリのアップデート
株式会社sharedは、脳科学・教育・工学の専門知識を持つ3名が立ち上げたチームで、高校生向けのオンライン塾「168塾」を運営しています。168塾の特徴は、単に勉強を教える塾ではない点にあります。東北大医学部卒でリーダーの難波諒太朗さんはご自身の塾での指導経験から、1週間、168時間のすべてに目を向け、勉強だけではなく生活習慣も含めて伴走することを大切にしてきました。
MiTOHOKU応募時、sharedが構想していたのは、教育現場で先生の指導力を高める「指導者のためのAI」でした。もともとsharedで「168塾」というオンライン塾を立ち上げており、その指導経験を生かした教員向けの新サービスの構想を検討していました。ただ、MiTOHOKU Programのキックオフキャンプに参加し、メンタリングを通じて、次第にあることに気づきました。
リーダーの難波さんは、「僕たちは指導者のためのAIの話よりも、168塾の話をしてたんですよね」。メンターの齊藤さんからも「それなら普通に168塾のことをやればいいんじゃない」というシンプルな助言がありました。そこでチームの中でも新規性を追うよりも、自分たちがこれまで本気で向き合ってきたプロダクトを、半年間かけて徹底的に磨き切ろう。そこで着手したのが「168塾」の指導で使われていたWebアプリ「168share」のアップデートでした。

このアプリをリリースした背景には、どの先生でも168塾の指導メソッドを使いながら質が高い指導をできるようにすること。難波さんは「目標設定、時間の使い方、優先順位づけといった時間の使い方に関する指導が重要なのですが、これまでは先生の力量に頼るしかなく、面談やチャットを通じて個別対応していました」と話します。
再現性を高めるために2025年春に学習支援アプリ「168share」をリリースしたもののまだリリースしたばかりで、磨き込む余地はありました。そこで、「168share」の機能を徹底的に磨きこむアップデートに注力することにしました。
その中で追加した機能の1つが、「168時間デザイン」。カレンダーアプリのようでありながらも、予定を入れるのではなく自分の1週間そのものを設計する感覚で制作しました。睡眠、学校、移動、食事。まず「削れない時間」を明らかにし、その上で勉強や活動をどう配置するかを考える。さらに、それぞれの時間の合計も週ごとに自動でグラフ化され、可視化されます。
生徒が設計した計画に基づき、例えば「夜7時に勉強する」などの通知が生徒のスマホに届くようになっており、自分で立てた計画を、自分で遂行する感覚を大事にしています。

ユーザーインタビューと脳科学の知見による、115回のアップデート
「168時間デザイン」に加え、MiTOHOKU Program期間の約半年間で行われた168shareのアップデートは、115回。176日の期間中に、ほぼ毎日のように改善が重ねられました。
背景にあるのは、徹底したユーザーインタビューです。30〜40人以上の生徒に対し、アンケートではなく直接インタビューし生徒の意見を拾いました。「アンケートだと、本音は出てこない。だから1人あたり30分〜1時間、ちゃんと話を聞きました」と難波さん。デザインの細部や通知のタイミングなどを「生徒が使いたくなるか」ということを重視して進めていきました。また、経営メンバー3名が現在も「168share」を利用して指導を行っており、実際の指導を行う中での気づきをプロダクトに反映しているそうです。
さらに、アップデートには難波さんが研究している脳科学の知見も活かされています。トップページの左上には「何のために勉強するのか」を記入する欄を作りました。例えば「AIの研究者になるために○○大学に合格する」のように自らの目標を記入できるようにしていました。難波さんは「例えば勉強机の近くに紙で書いた目標を貼っておくように、目標を掲示しておくと脳に刻まれやすくなります。だからこそ一番見えるところに目標を記入できるようにしました」と話します。

そして迎えた、最終プレゼンテーション。15分間のプレゼンテーションの中にはsharedのこだわりが凝縮されていました。「みなさんの1週間はどんな1週間でしたか?」という難波さんの問いかけからスタートし、この日のために作った動画を投影しました。
さらにプロダクトの紹介についてはCTOの安部央人さんが担当し、審査員にタブレットを配布して、実際に「168share」を体感していただきました。タブレットのユーザー名には審査員それぞれの名前を書く、各機能のページにはサンプルの文章を入れておくなど細部までこだわり、実際にプッシュ通知で「今日の予定」を送って生徒になった気分を体感してもらいました。このプレゼンが評価され、sharedは最優秀賞とオーディエンス賞を獲得するという快挙を達成しました。

MiTOHOKU Programのつながりを生かし、さらなる進化へ
sharedにとって、MiTOHOKU Programは様々な人を作る貴重な時間だったといいます。3期生の仲間たちやメンターの出会い、またこれまで採択された先輩たちとの対話から、多くのことを学びました。COOの桑久保皓大さんは「関わる人が一気に増えたこと、多くの方からフィードバックをいただくことができ、また、今後の発展の方向性を助言していただいてよかった」と話します。
「168塾」のメソッドは現在は学習に特化していますが、「習慣化」という意味ではトレーニングや健康づくり、社会人のリスキリングなどにも応用できると考えています。
sharedのビジョンは、「ワクワクして生きることが、当たり前の社会に」。まずはユーザーを増やし、168塾のメソッドを広めることで、目標に向かってワクワクしながら生きることができる人を増やしていきたいと考えています。sharedはMiTOHOKU Programの経験を活かし、子どもたちの未来を作るサービスをこれからも開発していきます。

