栄養士として、食と栄養から健康を支える

福島県福島市にてフリーの管理栄養士として活動する傍ら、週末にはキッチンカーを営んでいる高橋和希さん。福島県内で多くの人の栄養管理をしながら、ご自身もお料理を振る舞っています。休みなく活動する彼女の原動力は何なのか。高橋さんの想いを伺いました。

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個人と向き合った栄養指導

 福島市内の高校を卒業した後に、会津大学短期大学部の食物栄養学科に入学し、栄養学を学びました。大学卒業後には県内の産婦人科に就職しましたが、そこでの生活は、想像以上に忙しいものでした。入院している妊婦さんの朝昼晩の食事やおやつの献立を考え、発注から買い出し、さらには調理まで全ておこなっていました。20食分を、1人で2時間以内に調理、提供。その上、人間関係や給与形態も希望とは異なるものでした。産婦人科で2年半働いてからは、福島市内の飲食店に転職しました。そこは食材にこだわった、地元密着型の企業でした。当時、飲食チェーン店は栄養価が偏っているというイメージもあった他、地元に密着して食材の質にこだわった料理を出すお店で働きたいという希望があったので、そのお店への転職を決めました。

 半年ほど勤務したのちに飲食店は閉じることになりました。そんな矢先、一人の男性に出会ったのです。その方は知り合いの繋がりで、奇遇なことにある会食の場で出会いました。その方は福島市内で個人向けのパーソナルジムを経営していました。そこでの出会いをきっかけにお声がけいただき、わたしはジム系列の整骨院で受付業務をおこないながら、パーソナルジムに通っている方々への食事指導を担当することになったのです。

 ジムや整骨院で働きつつも管理栄養士資格取得のため勉強を続け、晴れて合格することができました。管理栄養士になったことをきっかけに、24歳の時に独立してフリーランスの栄養士として活動することを決め、現在に至ります。管理栄養士は一般的には病院や福祉施設、学校給食センターなどで働くことが多いですが、私は個人に対して食事や栄養指導を行い、お金を頂いています。

人と人とのつながり

 現在は、福島市を中心に活動しています。私の活動内容は2つあります。1つは、生活習慣病の予防健診でメタボリックシンドロームと診断された方々を主な対象とした、食事面の保健指導。もう1つは、個人的に繋がった方々への栄養指導を行っています。バストケアやピルビスワークなどで個人経営されているサロンさんから受けることが多いです。指導内容としては、カウンセリングでまずは現状を把握し、必要な食生活改善や栄養素をお伝えします。その後、3食の写真を提出していただいてフィードバックをおこない、場合によってはレシピや食材の活用法のパンフレットを渡しています。

 また管理栄養士として業務を担う他、週末にはキッチンカーを出したり、食堂イベントを開いたりしています。主に毎週金曜日、もう1人の方と交代でキッチンカーを経営しています。福島市内の複合施設や駅前のイベントなどに出店したり、場合によっては団体向けにお弁当を作ったりしています。メニューとしては、無農薬玄米を使ったおにぎりや、塩こうじを用いた鶏肉やタコライスのお弁当、そしてオーガニックのレモンスカッシュやカフェオレを提供しています。飲み物は季節によって変わります。

 管理栄養士を務めながらキッチンカーを営んでいますが、改めて人と人の繋がりが重要であることを実感します。キッチンカーを出すきっかけになったのは、、知り合いの繋がりでした。あるとき、知り合いが通うジムの管理栄養士さんが、キッチンカーを考えているということを聞きました。わたしも興味があったのでその方と繋がり、実際にキッチンカーを始めることになりました。

 そしてキッチンカーに来てくださるお客さんの中には、

・知り合いの紹介

・SNSでの発見

・利用してくださったお客さんが、さらにキッチンカーをSNSで拡散→また別の方がキッチンカーを知って来店してくださる

といった方がいらっしゃいます。

さらには、栄養指導の活動をしている中で知り合ったサロンのオーナーさんたちが、ご自身のお知り合いの方々にキッチンカーを紹介してくださって、他の方々もキッチンカーにいらっしゃることも多いです。最初の繋がりは少なくても、信頼関係ができていけば、さまざまな場面に繋がっていくことがわかりました。

 正直、組織に属さず、「フリーランス」という立場で活動することの懸念点は、収入が不安定なところです。自分の収入から必要経費を出さないといけないので、常に金銭面で不安を抱えることが多いです。自分で全てを管理していくうちに、コツコツと収入を得ていくことが大切なんだと実感するようになりました。だからこそ、多くのお客さんと出会うきっかけになる、人と人の繋がりは大事なんだなと感じています。

経験の重要性

 それまでとは関係のない世界を見てみることで、また新しい価値観に触れることができます。経験をする中で、自分が楽しい、わくわくすると感じられることを見つけながら、やりたいことを見つけていくのがいいと思います。わたし自身もそのときまでとは違った経験をして、自分のやりたいことを確認しながら進路を決めていきたかったと感じています。経験をしないことは、食わず嫌いと同じです。食べたくないとずっと思っていたものでも、勇気をふり絞って一口食べてみたら意外とおいしいこともありますよね。それと同じだと思います。さまざまな体験をしながら、働き方や考え方を見直し、やりたいことを見つけていってください。

◆おすすめの本
スペンサー・ジョンソン「チーズはどこへ消えた?」(扶桑社)
この本を読むと、相手の立場になって物事を考えることの意義がわかります。なぜ、この人はこのような価値観になるんだろう、ということを常に考えるようになります。この本には2匹のネズミが登場しますが、そのネズミたちは、一つの出来事に対して、それぞれが行動を起こします。ぜひこの本を読んで、2匹のネズミの立場になって、2匹の価値観や物事の見方について考えてみてください♪

(本の情報:国立国会図書館サーチ)

写真提供=高橋さん

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この記事を書いた人

地域で挑戦する人や企業を豊かにすることを目的とした福島創業のチーム。 ライターやデザイナー、映像クリエイター、エンジニア等といったプロが集まり、 各々の専門スキルや個性を活かしながら、関わるお客様や地域の資本を豊かにするため活動している。

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