獣害を解決しながら、地域に魅力を生み出すサービスを。事業プランを進化させた半年間

2025年秋、全国的に深刻な被害が発生したクマによる獣害。その獣害を解決するプロダクト開発を行っているのが「BearBell」の服部悠大さんです。様々なプログラムに採択され、起業も果たした服部さんですが、それはMiTOHOKU Programの採択がきっかけだったといいます。 MiTOHOKU Programでの半年間を経てどのように事業を進化させたのか、お話を伺いました。

目次

プロジェクトに信頼感を与えたMiTOHOKU Programの存在

服部さんのプロジェクト「BearBell」は熊などの出没情報をリアルタイムに通知することで、獣害を解決するサービス開発を行っています。獣害が深刻な秋田県にある国際教養大学の学生たちが中心になり検討を重ねてきました。服部さん自身も熊を目撃し熊に遭遇して逃げた経験、熊出没情報がリアルタイムに通知されなかった経験を持ち、まさに自分たちが秋田で感じてきた課題を解決するためにサービス開発に挑戦しました。

MiTOHOKU Program Programに応募した時、「ユーザーが目撃した熊などの出没情報をリアルタイムでアプリ内の地図に表示する」、「周辺のユーザーへ自動かつ即時に警告を送る」や「AIを活用した猛獣の行動予測機能」などのアイデアは固まっていました。しかし外部のプログラムに応募したことはなく、学生たちでアイデアを考えまとめていた段階でした。

そんな中、MiTOHOKU Programに応募してみると最終審査を突破し、無事採択。さらにそれだけではなく、このアイデアを様々なコンテストにも応募してみると、次々に受賞を重ね、各種プログラムにも採択されました。仙台市で2025年12月に開催された「SPARK! TOHOKU 2025 Startup Pitch」では学生部門で最優秀賞であるNICT賞を獲得し、全国の学生たちがビジネスアイデアを競う「起業家甲子園」の候補となりました。

さらに大学のある秋田県でも秋田県が進める「若者チャレンジ応援事業」に2025年11月に採択。加えて福島県でも2025年9月に開催された若年層対象のビジネスプランコンテスト「イノベのたまご」で最優秀賞となりました。さらに様々なニュース・メディアでも活動が取り上げられました。

=最優秀賞を獲得した「イノベのたまご」でのプレゼンテーション

これだけ多くのコンテストに採択されながらも服部さんは「MiTOHOKU Programに一番最初に評価してもらったことが大きかった。それが着火剤となり様々なコンテストやプログラムに採択された」と話します。

服部さんにとって、BearBellとしてビジネスアイデアコンテストに出るのは実はMiTOHOKU Programが初めて。経済産業省の採択事業でもあるMiTOHOKU Programに採択されたことの信頼度は大きく、まだアイデア段階で名もない自分たちのプロジェクトを採択したMiTOHOKU Programにはとても感謝しているそうです。

MiTOHOKU Programで磨きこまれたビジネスアイデア

MiTOHOKU Program期間中、熊の出没や人身被害は連日ニュースで報じられました。そして、2025年の「今年の漢字」も「熊」となり、服部さんも「毎日のように被害が報じられる中で、命を守る情報を迅速に流す必要性を肌で感じました」と話します。

当初はクマなどの獣害の情報を知るためにユーザーが有料課金するサービスを検討していましたが、メンターとの対話を通じ、「命を守る情報を早く届けるためには有料にするべきではない」という思いから、ユーザーからはお金をとらず、企業と連携して企業からお金をいただく方法や、自治体と連携する方法を軸にしたビジネスプランに変更しました。無料にすることでより多くのユーザーから熊などの出没情報を迅速に集め、そして蓄積したデータを企業や自治体に提供していくことを考えています。

さらに、プログラムやメンターへの対話を通じ、服部さんはあることに気づきます。それは、BearBellは獣害というネガティブなことをなくすことはできても、それだけだと地域はポジティブにならないということ。単に課題を解決するのではなく、さらに地域に魅力を生み出せるような何かを考えないといけないということに気づきました。

そこで、「動物の出没情報が即時にわかる」というプロダクトの技術を転用し、観光、教育、環境理解、などへ波及させる構想を描き、最終発表会でもプレゼンテーションを行いました。今後は既存の天気予報アプリやアウトドアの時に使われるアプリとの連携を構想しており、サービス提供会社と連携しながら、ビジネスにつなげていくことを検討しています。企業CSRの一環として、BearBellのスポンサーを集めるなどの展開も検討しています。

秋田・東北初のプロジェクトで全国の獣害を解決

最終発表会では「安全から共生へ」というメッセージを打ち出し、優秀賞に輝きました。プロジェクトに共感してもらった嬉しさを感じつつも、「アイデアは評価されたものの社会実装がまだまだ足りなかった」と話します。最終発表会の直後、2026年1月には株式会社BearBellを設立しました。メンバーも増え、今後は事業開発やアプリ開発を加速させて行きたいと考えています。

服部さんが目指すのは、社会課題を解決しつつ、東北発のサービスを全国へと広げていくこと。「今後、獣害を解決するアプリは増えていくと思いますが、獣害が深刻な秋田県の大学に通っている我々だからこそ描ける解決策があると感じている」と話します。まずは構想を具体化したアプリの開発に向け、チームのメンバーとともに全力を尽くします。

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この記事を書いた人

東京大学教育学部卒業後、全国紙の新聞記者として広島総局・姫路支局に勤務し事件事故、高校野球、教育、選挙など幅広い分野を取材。民間企業を経て、2021年に株式会社オーナーを起業し、本教材「探究百科GATEWAY」を開発し編集長を務める。

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