問いづくりのポイント8 社会と学校の架け橋としての学び

 前回は、探究の中間発表に関してピッチ型プレゼンテーションの話をさせていただきました。最終発表に向けてのプロトタイプ(試作モデル)なので簡易的なもので十分です。ここでしっかりとしたものを作っても中間発表会のフィードバックから大きく路線変更する場合もあります。そう考えると今の自分が考えていることを端的に伝えるスタイルの方が向いているかもしれません。

 さて、今回は、中間発表からのプロジェクトの再構築について考えていきます。中間探究発表会は、可能であれば多くの人(同じ学校の生徒、教師、他校の生徒や教師、保護者、探究サポーター)から意見をもらえるような多様な対話の場を設けると効果的だと思います。

 それでは、実際にフィードバックを受けた内容をもとに考えていきましょう。中間発表会がなかったとしても家族や友人、先生にプレゼンをしてフィードバックをもらってみてください。

 今回は「表」にまとめるということで練習していきます。Googleスプレットシートやエクセル等ですぐにできますし、紙にメモ程度に書いても構いません。

中間発表のフィードバックを受け、これからのリサーチを検討する。

 ・フィードバック内容をブレインストーミングし、KJ法でまとめる。

まずは、付箋でもメモ帳でもよいので、フィードバックで得た情報をまとめてみましょう。ここでは便宜的に「表」を活用したいと思います。思いついたことをどんどん書き出してみてください。このような手法をブレイン・ストーミングといいます。(可能であれば付箋がいいです)

1.とても共感してもらえたところ



2.もう少し調べた方が良いと言われたところ



3.フィードバックの中で新たに自分で思いついた内容



 思いつくだけ出し切ったら、次に関係のあるもの同士をまとめてみてください。ここも「表」を活用していきます。カテゴリの欄には関係性あるもの同士をまとめたタイトルを記入してください。内容は先ほどの内容をそのまま記入してください。このような方法をK J法と呼ばれています。付箋の場合は、動かしやすいのでまとめやすいかもしれないですね。

 中間発表の内容をまとめた後に、最終発表会に向けてどのようなことを行っていくのかを考えていきましょう!皆さんの中間発表の内容をもとに自分のプロジェクトの構造化を考えてみましょう。

 リサーチ結果のモデル化を考えていきます。次のような項目を「表」にまとめていきましょう。そして、まとめた内容をもとに最終発表会に向けて準備を進めていきましょう。

項目内容
自分の興味関心の深化
社会との接続
誰のためにするのか?
現実的な視点でどのように解決するのか?
どのようなステークホルダーと関わるのか?
どのようにアクションしていくのか?

 これをもとに最終発表会に向けて準備を進めていきましょう。最終的なアウトプットの方法は正直何でも構いません。スライドでもポスターでも制作物でも自分で選択するのが一番です。ただし、発表会等で指定されている合にはそれに従ってください。最終発表では自分たちの考えをただ伝えるだけでなく、「聴衆側に少しでも行動に移してもらえる」ことを意識した方がよいと思います。自分たちのアイディアを他の人たちにも行ってもらうということは、みんなでよりよい社会を創ることにつながるはずです。皆さんたちで自分たちから発信して社会のWell-Beingを創るということを意識できたら素敵ですね!

 次の図を考えてみるとイメージしやすいと思います。

 それでは、最終的なプレゼンテーションとして皆さんが伝えたい内容の「核」になるところを「表」にまとめてみましょう。

  自分が伝えたい内容   
  聴衆に行動してもらいたいこと   
  プレゼンテーションで伝えたいこと   

 今回は中間発表でのフィードバックをまとめる方法として「表」を活用してみました。難しいシンキングツールを使わなくても「表」を作成してまとめると自分の考えることがはっきりとわかったりします。項目の内容は今回はあくまでも一例ですので、皆さんのプロジェクトに合わせて活用してみてください。

 次回は高校における探究の一番大切なところを考えていきます。「自己の在り方生き方と一体的で不可分な課題」です。皆さんのキャリア形成や進路を意識するところになります。自分の興味・関心のある内容をリサーチして、まとめただけでは高校における探究は不十分です。そこに必要なのは皆さん自身の「在り方」「生き方」が関係していきます。その内容を一緒に考えていきたいと思います。

 それでは、リフレクションを行います。

※文章でなくても構いません。文章が苦手なら、単語でも絵でも何でも構いません。

 自由に思いつくまま書いてください。

1 今回の学びで皆さん自身が発見したことを考えてください。



2 今回の学びで皆さんが一番印象に残るくらい新しく発見したことは何ですか?



3 2の時、皆さんはどのようなことを思いましたか?



4 今回、学んだことを皆さんはどのように今後に活かしていきたいですか?



 

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この記事を書いた人

宮城県の公立高校教員として23年間勤務したのち、2024年4月より宇都宮海星学園星の杜中学校・高等学校で勤務。

指導の核としてパブリック・リレーションズの考えをもとに生徒たちに「生きやすさ」を考える授業の展開を心がけている。経済産業省「未来の教室」アイディアソンやJICA主催公開セミナーにて事例発表等にも選出された。また、探究関係の教材開発協力や授業づくりで多くの学校で講演を行っている。地理歴史・公民科教諭。

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