AIやテクノロジーを活用した無人販売を、大熊から

福島県大熊町の大熊インキュベーションセンター(OIC)に入居する株式会社AIBOTの松尾久人さんは、無人店舗「BAITEN STAND」を手がけています。マットに商品を置くと、AIを搭載したカメラが自動で商品を判別し、店員さんがいなくても簡単に商品を購入することができます。もともと福岡を拠点に事業を行っており、そこから大熊での事業展開に踏み切りました。なぜ大熊で新しい挑戦を始めたのか、お話を伺いました。

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町とのつながりから、無人店舗を実証

もともとは2016年に起業し、福岡を拠点にAI・先端技術を使ったシステム開発を行っていました。当時は製造業向けの画像認識システムを開発していましたが、自分たちの画像認識の技術を小売業に転用して、無人販売の店舗を作れないかと考えていました。

実証地域を探していた時、ちょうど福島県の浜通り地域でテクノロジーを使った企業や新事業展開を支援する「Fukushima Tech Create(FTC)」というプログラムがあることを知り、応募したところ採択されました。このことをきっかけに、2021年の春から福島とのかかわりができました。

プログラムに採択されて浜通り地域での無人店舗の実証を進めようとしていたところ、大熊町役場の方が興味を持ち、2022年7月にオープンする大熊インキュベーションセンター(OIC)で無人店舗の実証をすることを依頼されました。ここには、大熊町で様々な実証を進めたい企業や起業家の方が入居する予定で、仕事をしたり町内外の方々が交流をしたりする場所になるということでした。

しかし、OICの近隣にはコンビニやスーパーがなく、入居企業や利用者の利便性を高めるためにも何かものを買える店舗を作りたい、というのが町側の思いでした。

無人店舗が支える大熊の働き方

さらに、松尾さんもOICに入居してみませんか、という打診もいただきました。私たちも自分たちの技術を実証できる地域を探しており、町に全面的に協力いただける環境のもと、浜通り地域で一から小売りのインフラ作りに携われることはよいチャンスだと考え、OICに入居し大熊に拠点を設けることを決めました。

そしてOICのオープンと同時にOIC1階のコミュニティスペースに無人店舗をオープンしました。AIBODの画像認識システムは大掛かりなものではなく低コスト・省スペースで実現することが可能です。画像認識の技術を使うため、カメラを置けば無人レジが実現でき、バーコードも必要ありません。お客さんはキャッシュレス決済を使って簡単に支払いができます。「視覚を持ち、24時間働けるAI販売員」と紹介しています。

現在、OICには約150社の企業が入居しており、リモートワークを行う移住者の方も増えてきました。1階と2階に設けられたコワーキングスペースにはたくさんの種類の机・ソファがあり、WEB会議などに使える防音ルームもありまして、気分に応じて働く場所を変えることができます。その環境の中で、仕事をしながらちょっとつまめるようなお菓子やカップラーメンは売れ行きがよく、夏場のアイスクリームも好評です。

テクノロジーの力で大熊・浜通りの未来を創る

私たちは無人店舗の実証をきっかけにしながら、大熊町の様々な課題をテクノロジーの力で解決していくことを考えています。

例えば大熊町が進めているゼロカーボンの取り組みについて、電力の需給予測などに技術を使えないか、移動の効率化ということで自動運転の実証ができないかという議論を関係者と始めています。

町が進めている学び舎ゆめの森の教育は非常に独創的で、今後ファミリー世帯にとっての魅力は高まっていくと思います。さらに今後JR大野駅西口の商業施設や大野病院ができていけば、町としての機能が充実し、にぎわいも生まれていくと思います。一方で、「国内同様、大熊町でも人手不足という問題には直面すると思いますから、テクノロジーの力を使った効率化を進め、大熊町からよいモデルを発信していく必要があると考えています。

また、「BAITEN STAND」については2024年夏現在、町内だとOICに加え大熊町役場に開設。加えて、南相馬市の福島ロボットテストフィールド・南相馬市産業創造センター・福島県環境放射線センターの施設内計3カ所に開設しています。南相馬市もOICと同じく近隣にコンビニなどがなく、無人販売のニーズがある場所に開設しています。大熊町から周辺の浜通り地域・福島県にも取り組みを広げていきたいと考えています。

福島とかかわりを持ってから4年ほどでここまで実証を進めることができたのは、大熊町の「ひと」のおかげです。マインド・考え方がとても前向きで、外から来た人たちを受け入れる土壌があると感じています。外から地域に飛び込みたい人にとってはこの上ない環境ですし、そんな環境だからこそ、努力が結果になる可能性を秘めたまちだと思います。とてもよい環境なので、何か挑戦したいことがある方は、ぜひ大熊に飛び込んでみてください。大熊は、みなさんがやりたいことをかなえられる場所です。

写真提供=松尾さん

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この記事を書いた人

探究百科GATEWAYの編集部です。高校生の「探究」に役立つ情報や探究分野の解説、探究の方法について発信します。

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