◆「ストレス」の現状を知る
ストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことである。
厚生労働省の「労働安全衛生調査」によると、「仕事でストレスを感じている」労働者の割合は、58.3%(2017年)、58.0%(2018年)、54.2%(2020年)、53.3%(2021年)と、半数を超える労働者はストレスを感じながら仕事をしていると言える。2021年の結果を年代別にみると、47.6%(20代)、59.5%(30代)、53.6%(40代)、57.4%(50代)、37.4%(60歳以上)と推移しており、30歳代・40歳代のいわゆる働き盛り世代のストレスが高いことがわかる。
背景には仕事への成果主義の導入、経済状況の悪化などの労働環境の変化があると考えられる。
2021年の調査でストレスの具体的な内容を見ると、仕事の量(43.2%)が最も多く、仕事の失敗(33.7%)、仕事の質(33.6%)と続く。また男女でストレスの内容を比較すると、「対人関係」について男性が22.6%であるのに対し、女性が29.1%と高く、女性の方がストレスを抱えていることがわかる。年代別で比較すると、20代、60歳以上では仕事の失敗の割合が最も高く、30代から50代では仕事の量の割合が最も高いことがわかった。
このように、仕事で経験するストレスの内容は年齢や性別によって異なる。ストレス対策を進める際には、これらの内容の違いを十分に考慮する必要がある。
参考)
厚生労働省 令和3年度 労働安全衛生調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r03-46-50b.html
ストレスって何?/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/first/first02_1.html
ストレスとは/こころの耳(厚生労働省)
◆「ストレス」について視野を広げて考える
・ストレッサー(ストレス要因)
心や身体にかかる外部からの刺激をストレッサーと言い、これによってストレスは引き起こされる。「物理的ストレッサー」(暑さや寒さ、騒音や混雑など)、「化学的ストレッサー」(公害物質、薬物、酸素欠乏・過剰、一酸化炭素など)、「心理・社会的ストレッサー」(人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など)がある。普段私たちが「ストレス」と言っているものの多くは、この「心理・社会的ストレッサー」のことを指している。職場では、仕事の量や質、対人関係をはじめ、さまざまな要因がストレッサーとなりうることが分かっている。
・ストレスと病気
ストレス反応が慢性化すると、まず活気が低下して、元気がなくなってくる。最終的には気分が落ち込んだり、物事を憂鬱に思うなど、いわゆる「うつ」の状態に近づいていく。気分の落ち込み、憂うつな気分、趣味などが楽しめない、疲れやすいなどの症状が2週間以上続く場合は、「うつ状態」の可能性が高い。
またストレスは精神面だけでなく、身体面での疾患にもつながる可能性がある。円形脱毛症などストレスと関連性が高いとみられる疾患もあれば、関節リウマチや糖尿病など、一見関係なさそうな疾患でも、ストレスが原因となっている可能性がある。
・ストレスへの対処
ストレスへの対処法には、自分自身ならびに周囲の人の協力を得て解決する方法、ストレスによって発生した自分の不安感や怒りなどの感情を周囲の人たちに聴いてもらうことによって発散する方法などがある。
自分で対応しきれない大きな問題を抱えた時には、信頼できる人や専門家に相談することが必要となる。例えば、不安や心配が全面に出ている場合には、カウンセラーに相談することができる。多くの専門家に相談することで、解決に至る時間が短縮されたり、よりよい解決方法が見出されることにつながる。
◆「ストレス」に関する探究学習のテーマ例
・ストレスを感じる瞬間はいつか
・ストレスで悩んでいる人を見かけたら何ができるか
あなたへの問い
あなたのストレス発散法は何ですか?3つ挙げてみよう。