探究分野解説「インターネット・情報」

情報社会が進展し、世界中のコンピュータを接続するインターネットは、今や生活や仕事に欠かせません。一方、情報管理や個人情報保護といった問題も生まれています。私たちは今後情報をどのように扱い、利用するのがよいか考えてみよう。

ここでは、「情報・インターネット」にまつわるテーマや調査・研究の時に有効なデータベース、GATEWAYの記事へのリンクを紹介していきます。

目次

探究テーマ「CG・VR」

CG、VR、ARは、それぞれコンピュータ・グラフィックス、バーチャル・リアリティ(仮想現実)、アグメンティッド・リアリティ(拡張現実)の略を意味する。CGはアニメやコマーシャルに用いられており、VRにも生かされている。VRでは専用のゴーグルなどを装着することで、コンピューターによって作り出された世界を現実世界のように擬似体験することができる。ARでは、現実空間に仮想空間の情報を重ね合わせて表示することができる。

新型コロナウイルス感染拡大により、巣ごもり需要が急増したこともあり、仮想空間の利用が浸透しつつある。新しい市場としても注目されている。現在の仮想空間市場はリテラシーの高いユーザが利用している段階であり、市場を拡大するためには一般消費者を集めることが重要と考えられている。

例えば身近なところでは説明会を仮想空間を用いて行っている高校もある。仮想空間の日常生活との融合は、社会や産業の在り方を大きく変える。一方で、仮想空間におけるルールメイクの在り方や現実空間への影響など、検討が必要な課題も存在する。

経済産業省 「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」
https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210713001/20210713001.html

ジタル庁

国もデジタル技術の活用には力を入れている。その1つの省庁が2021年に発足した「デジタル庁」である。「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」をミッションに発足。従来官公庁で働いている官僚だけでなく、デジタルの分野で高い専門性をもつ民間人を組み入れ、日本全国のデジタル化を一気に実現することを目指している。

デジタルの日など、国もイベントを開催している。

10 月 10 日(日)開催 デジタル庁主催 初のオンラインイベントhttps://www.digital.go.jp/assets/contents/node/information/field_ref_resources/4713824a-a976-4222-ac38-808796ff8763/211005_digitaldays_02.pdf

クリエイターエコノミー

インターネット空間が、いわゆる「Web3.0」の領域に進展していくに伴い、新たなビジネスモデルが登場している。例えば、Non-Fungible Token(NFT)を活用したビジネスの登場やメタバース空間におけるバーチャルイベントの開催が挙げられる。

NFTビジネスやメタバース空間ビジネスについては、コンテンツやその空間を生み出すクリエイターの存在が必要不可欠である。クリエイターが価値を生み出し、その対価を得られる構造をはじめとするクリエイターエコノミー(経済圏)を作り出すことが、Web3.0やメタバース関連領域を進展させていく上で必要不可欠である。

経済産業省も「Web3.0時代におけるクリエイターエコノミーの創出に係る調査事業」を開始し、実証を始めている。https://www.meti.go.jp/press/2022/07/20220705003/20220705003.html

探究テーマ「情報伝達手段の変化」

昔の人は和歌で想いを伝えていた、と聞いたことがあるだろう。あなたが今、大切な人に想いを伝えるときはどうするだろう?和歌を詠むこと以外にたくさんの手段が考えられるだろう。直接会う、手紙を渡す、LINEを送る、通話する、歌を作る…あなたはどうするだろうか?

自己を表現する手段は、時代とともに移り変わる。1990年代には「ポケットベル(ポケベル)」が大流行したが、今や「ポケットベル」を利用している人はほとんどいない。カセットテープ、CD、MDは見たことはあっても使ったことがあるという人は少ないだろう。音楽をスマートフォンのアプリで以前は、これらが用いられていた。学校にCDプレーヤーがあるなら、カセットテープを入れる場所があるか、確かめてみよう。現在ではほとんど使われていないが、なぜ廃れてしまったのか考えてみよう。

AIが言葉を学習して話し始め、絵も描き始めている。私たちはこれまで何をどう表現してきたのか、私たちはなぜ表現をするのか、私たちは表現によってどこへ向かうのか、探索してみよう。

参考)総務省 ポケットベルって知ってる?
https://www.soumu.go.jp/hakusho-kids/life/what/what_11.html

表現方法と伝達手段

表現方法には、「絵」「言葉」「声」「歌」などがある。伝達手段としては、「手紙」「年賀状」「伝書バト」などがある。表現方法と伝達手段を明確に区別することは難しいが、具体的な相手を想定するか否かで表現の中身は変わってくるのではないか。

敬意表現(敬語)

特徴的な表現の一つに、敬意表現(敬語)がある。敬意表現とは、コミュニケーションにおいて、相手や場面に配慮して使い分けている言葉遣いを意味する。それらは話し手が相手の人格や立場を尊重し、敬語や敬語以外の様々な表現から適切なものを表現として選択している。

日本語における敬語は、「相対敬語」と言われ、相手との関係によって決まる。例えば、担任の先生が校長先生に話しかける時、「校長先生、お時間よろしいでしょうか。」などと訪ねるだろう。一方で、担任の先生が、他校からの電話で校長先生はいるかと聞かれた時、「校長にお繋ぎします。」「〇〇(校長先生の名字)は今おりません。」と話すだろう。これは、「ウチ・ソト文化」との関連もあるので、気になったら調べてみよう。

一方で、韓国語では、「絶対敬語」が用いられている。韓国語に関しては、年上であるかということが接待的な基準となっている。そのため、親について先生に話す際でも、「私のお父様は元気でいらっしゃいますよ」と話す。

敬意表現の言語ごとの違いや時代の移り変わりによる変化について調べてみよう。

SNS

SNSを使っていない人は少ないだろう。あなたは、 SNSでどのようなことを表現しているだろうか。SNSでのトラブルは絶えない。SNSを用いて様々な情報をインターネット上に公開することができるようになった。
安易な投稿が自分や他人にどのような影響を与えるかをよく考えずにトラブルになってしまう人も多い。インターネット上への投稿が自分や他人に及ぼす影響や、情報社会における表現に伴う責任や義務について考えてみよう。

人工知能による表現

人工知能(AI)の急速な発達で、人工知能が表現することも可能になっている。例えば「対話型AI」といわれる「ChatGPT」などがニュースでもよく取り上げられるようになった。このような人工知能には、自然言語処理の技術が用いられている。人間の言語をプログラミング技術などを用いて機械も話せるようにするための研究が勧められている。人間のように話すことができるようになってきているものの、発言内容の信憑性は確かではなく、善悪の判断がつかないため、多くの課題が残されている。

表現の自由と公共の福祉

「表現の不自由展」が大きな議論を起こしたことを覚えている人もいるだろう。表現の自由はどこまで保障されているのだろうか。日本国憲法は、人間が生まれながらに有すると考えられる基本的人権を侵すことのできない永久の権利、つまり、法律によっても憲法改正によっても侵してはならない権利として、絶対的に保障する考え方をとっている。
しかしそれは、人権が無制限だという意味ではない。人権は個人に保障されるもので、個人権とも言われるが、個人は社会との関係を無視して生存することはできないのである。

表現の範囲

言葉を発することのできない人は、絵カードを用いたり、ハンドサインを使ったりして表現する。そのような人々は持っている絵カード、知っているハンドサイン以外のことを表現したいときどうするのだろうか。話すことができる人でも、自分の知らない言葉があれば、それについて表現することはできない。
他人が感じていることは、どのようにしたら読み取ることができるのだろうか。SNSでの投稿をもとに災害予測をする技術の開発が進んでいる。他人が表現したものを読み取ろうとしている一つの例である。

参考)文化庁 現代社会における敬意表現https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kakuki/22/tosin02/index.html

文部科学省委託 情報モラル教育推進事業 「情報モラルに関する指導の充実に資する調査研究」 情報化社会の新たな問題を 考えるための教材 ~安全なインターネットの使い方を考える~ 指導の手引きhttps://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/06/07/1368445_2.pdf

「公共の福祉(特に、表現の自由や学問の自由との調整)」に関する基礎的資料 基本的人権の保障に関する調査小委員会 平成16年4月 衆議院憲法調査会事務局https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/chosa/shukenshi046.pdf/$File/shukenshi046.pdf

「インターネット・情報」の探究に役立つWEBサイト

総務省 令和5年版 情報通信白書

「白書」とは、日本の中央省庁が外交・経済など各分野の現状を明らかにし,将来への政策を述べるために発表する報告書のことを指します。
次のURLでは、総務省でとりまとめている白書(年次報告書)を掲載しています。
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei//whitepaper/ja/r05/html/nd24b120.html

「インターネット・情報」の記事ページ

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この記事を書いた人

探究百科GATEWAYの編集部です。高校生の「探究」に役立つ情報や探究分野の解説、探究の方法について発信します。

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