日本一周・世界一周をした旅人が作るゲストハウス

福島県磐梯町初のゲストハウスである「The Retreat Place(リトリートプレイス)」を経営する小川直樹さん。

小川さんは日本の45都道府県を旅し、世界1周旅行も果たした、根っからの「旅人」です。そんな旅好きの小川さんがなぜ磐梯町に移住してゲストハウスをオープンしようと思ったのか、今後はどんなことにチャレンジしていくのか。行動力あふれる小川さんのストーリーをぜひご覧ください。

目次

磐梯町で「旅を提供する側」に

ゲストハウスをオープンしたきっかけは2011年の東日本大震災にあります。当時、私は東京都在住の中学3年生。忘れもしない、卒業式の日でした。テレビから流れてくる東北の惨状を目の当たりにして、「東北に行かなきゃ!」という思い一つで高校生の時に被災地ボランティアに参加したのがはじまりです。

ボランティアで訪れた岩手県宮古市は、津波の被害が大きく街は深刻な状況でした。それでも、現地の方々は私を歓迎してくださいました。作業の合間に美味しいものを食べさせてくれたり、観光地を見せてくれたりして、街の人たちの温かさを感じました。同時に、自分の世界がいかに狭くて小さいかを痛感した体験でもあります。

それからは、「色んな世界を見てみたい」と思い立ち、一生懸命アルバイトをしてお金を貯めて、日本や世界中を旅してまわりました。たくさんの国や地域を旅して人と触れ合ううちに、「旅を楽しむ側」から「旅を提供する側」になりたいな、と気持ちが変化していったんです。そして、福島県磐梯町にゲストハウスをオープンしようと決めました。

たくさんの人からよく「なんで磐梯町に?」と聞かれます。その理由は、磐梯町を旅した時が一番「心に響く景色」を見ることができたからです。猪苗代と会津盆地の中間にあたる磐梯町は、春は桜が咲き、夏は猛暑、秋は紅葉、冬は寒く、びっくりするぐらい雪が降ります。日本の原風景というべき景色がここにはあります。

磐梯町を訪れる人にも、私が感じた「日本らしさ」を楽しんでほしいと思っています。

非日常感を味わえ、交流を生む場へ

勤めていたIT企業を辞め、2021年に東京から磐梯町に移住。宿泊・体験・コワーキングを兼ね備えた複合型ゲストハウスを経営しています。

ゲストハウスは、空き家だったペンションを自分たちの手で改修。SDGsへの取り組みとして、廃材や端材、譲りうけた資材など、まだまだ使えるものを利活用しています。

宿のコンセプトは「様々なアクティビティを体験し非日常を味わおう」というもの。夏はヨガやSUP ※。冬はスノーボード。今後はSUPとヨガを組み合わせた「SUPヨガ」も展開する予定です。お客様には、この磐梯町でしかできない体験を通して、Retreat ※してもらいたいと思っています。

※ SUP:Stand Up Paddleの略。サーフボードの上に立って、一本のパドルを漕ぎ水面を進むアクティビティ

※ Retreat(リトリート):心身をリセットし、日常生活をリフレッシュさせること

ゲストハウスの1階部分は、コワーキングスペースとしても利用することができます。

県の補助金なども利用しながら、ワーケーション ※受け入れのための整備や移住事業にも力を入れています。

※ ワーケーション:「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で、働きながら休暇も楽しむ過ごし方

地域に住む人たちとの交流イベントも不定期で開催。これまで福島の地域おこしに関わる人が交流できるイベントを企画し、20~30人以上参加してもらっています。お話を聞けば、おひとりおひとりが素敵な活動をされているのですが、まだ個々人が「点」でしか活動できていません。

私が企画する交流イベントでつながり、情報交換をすることで、たくさんある「点」を「線」にしていきたい。どんどん地域おこしの活動を広げていきたいと思っています。

ゲストハウスのこれから

新しくチャレンジしたいことは2つあります。

ひとつは飲食事業で、コンセプトは「泊まれるバー」。磐梯町にいながら福島の日本酒の飲み比べができるバーです。私自身スパイスカレーが大好きなので、オリジナルのスパイスカレーも提供します。世界中を旅して様々な国でカレーを食べ歩いてきた私が開発した、その名も「旅人カレー」。地酒やフードメニューを楽しみながら、ゆっくりできる場所にしていきたいです。

もうひとつは、旅人のための交流イベントの企画。今現在は地域の人たちとの交流イベントがメインですが、今後は旅人と地域の人が交流できるイベントも企画していきたいです。企画内容は構想中で、2022年7月末に初めて開催する予定です。

◆高校生へのメッセージ

私の経験から、「やらない後悔より、やる後悔のほうがいい」、これをぜひお伝えしたいです。私は3.11の後、高校生の時に災害ボランティアに参加しました。その時の経験があったからこそ、今の私があります。「今、これをやってみたいな」と少しでも思うことがあれば、ぜひ思い切ってやってみてください。「あの時やっておけばよかったな。。。」と後悔することが少なくなります。

できない理由を見つけて、何かをしない言い訳にすることは簡単です。例えば「ハワイに行きたい!」と思っても、「コロナだから無理」「お金がないから無理」「休みがとれないから無理」といった具合に。「できない理由」を探すのではなく、「できる方法」を考えてみるといいと思います。

もし「やりたいことが分からない」「やりたくない」と思っているなら、ちょっとでも心が動くもの、無理だと決めつけているもの、何でも構いません。ぜひ、一歩踏み出して、時間やお金をかけてみてください。「あなたの心が動いたその瞬間」を無駄にしないでほしいです。

私はこれまでやりたいことをやってきたので、今、後悔はほとんどありません。日本一周も、世界一周も、自分で必死にアルバイトをしてお金を貯めて実現しました。やってみて後悔したとしても、「もっとこうすれば良かったな」という、前向きな後悔になりますよ。

おすすめの本
堀江貴文「多動力」(幻冬舎)

実は私は、めちゃめちゃ本を読むのが苦手です。「多動力」はそんな私が珍しく自分から読んでみたいと思えた本。文字数が少なめだったのもポイントでした。
私が心を打たれた部分を要約すると、以下のとおりです。
「1万人に1人」の職人レベルまで達するには膨大な時間が必要だけど、「100人に1人」の職人レベルであれば、ある程度の時間をかければ誰にでもなれるチャンスがある。そして、「100人に1人」の職人レベルのスキルを2~3組み合わせることができれば、それだけで「1万人に1人」以上に価値のある人間になれる。
この本に出会う以前の私は、飽き性で器用貧乏 ※ だったので、やることなすこと成果が出ませんでした。※ 器用貧乏:器用になんでもできる反面、かえって大成しないこと
私はそれまでの自分を省みるためにこの本を読みましたが、やってきたことは間違いではなかったけど、全てにおいて中途半端だったことに気づきました。この本から多くのことを学び、私の糧になっています。

(本の情報:国立国会図書館リサーチ)

写真提供=小川さん

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この記事を書いた人

地域で挑戦する人や企業を豊かにすることを目的とした福島創業のチーム。 ライターやデザイナー、映像クリエイター、エンジニア等といったプロが集まり、 各々の専門スキルや個性を活かしながら、関わるお客様や地域の資本を豊かにするため活動している。

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