宇宙で活用されるロボット開発をテーマにMiTOHOKU Programの期間にロボットの開発を行った東北大学大学院の鳥居奎吾さん。プレゼンには自ら開発したロボットを持ち込み、多くの注目を集めました。ロボット開発にかける想いはどのようなものなのか、MiTOHOKU Programを通してどんなことを学んだのか、お話を伺いました。
高校生で抱いた「ロボコン」への憧れ
私は幼少期からものづくりが好きで、よくブロックなど遊びの中で手を動かす子どもでした。そんな時、テレビで放映されていた「NHK学生ロボコン」にあこがれを持ちました。大学進学の時には「ロボコンができる大学に行きたい」という理由で大学を選択し、学部時代からロボットの製作に精を出しました。研究室・ロボコンサークルでの活動に加え、さらには複数のロボットベンチャーでのインターンを経験して、ロボット開発に情熱を注いできました。
大学時代に所属したサークルでは「関東春ロボコン」、「NHK学生ロボコン」にも出場。メンバーとしてだけではなく、チームリーダーとして仲間を率いた経験を持っています。大学時代、「NHK学生ロボコン2021」に向けて私たちのチームが製作したロボットがこちらです。「投てき」ができる機械であり、モーターなどを組み合わせて開発しました。
私はロボットの定義について「まだ一般化されていない機械のこと」だと考えています。新しい機械を作ることは、新しい価値を作っていくこと。自分たちが開発したロボットが実際に目の前で動く様子に魅了されてきました。
また、学生がロボット製作にかかわれるメリットは2つあると考えていて、1つは自由な発想で好きなように作れるということ。もう1つはいろいろな人にアドバイスをもらえることです。企業の方や仲間の学生たちから、たくさん正直な意見がもらえることが本当にありがたいです。
MiTOHOKU Programでの挑戦
MiTOHOKU Programでは、単にロボットが好きだから作るのではなく、今社会で求められていることは何か判断する力をつけたいと思い挑戦を決意しました。
特に注目しているのは、宇宙分野。近年再び月面開発が盛んになる中で、今後ロボットのニーズは拡大し、費用面でも多額の費用をかけて宇宙で利用できるロボットを作っていくことになると予測しています。
そこで、MiTOHOKU Programでは、宇宙に関するロボットの試作品(プロトタイプ)を作りました。大学時代からロボットサークルで開発の経験はあるものの、はんだ付けだけ、電気設計だけ、この部分だけ、などの関わり方だったため、最初から最後まで1人でロボットを作ったのは初めてで、自分のロボット開発技術が高まったのを実感しています。
MiTOHOKU Programの期間だった半年間はロボット作りに没頭し、制作時間は正確に数えていないものの100時間を超え、当日は朝5時まで最後の調整をしていました。今回栄えある優秀賞を受賞させていただきましたが、実機を作れたのが大きいと思います。形にすれば評価してもらえると思い、懸命に開発に励んで良かったなと思います。
MiTOHOKU Programから得た学び
MiTOHOKU Programの一環として行った中国研修では、ロボットの開発について大きな学びを得ました。常州大学の「Xbot Park」を見学した時、中国では課題を発見し、実機で検証するスピードがものすごく速いことや、学生が利用できる資金も日本とは比較できないほど大きいことを知りました。
MiTOHOKU Programで取り組んだロボット開発について、私は今後修士論文のテーマとして取り組んでいく予定です。もともと修士論文との接続は検討していませんでしたが、研究室に活動内容のことを話したところ修士論文で取り組むことになりました。
大学院を卒業後は、企業に就職して新しい日常をつくることに挑戦したいと考えています。より社会に影響を与えられるような進路を考え、メーカーに就職してエンジニアとして「実社会でのプロダクトの実現」を目指していきます。
MiTOHOKU Programとは
「MiTOHOKU Program」とは、東北にゆかりのある未踏的若手人材を発掘・育成するプログラムです。「起業家・専門家集団による伴走支援」により、若手人材の「前人未踏」のアイデア実現を支援します。