森林コラム①日本の森の4割を占める二次林

どうもこんにちは!今回から森林についての話をしていきます、橋本長武(はしもとおさむ)と申します。

皆さん、森林は好きですか?

森林は日本の国土の約66%を占め、ほとんどいつでも、どこでも見ることが出来ます。
関東平野の中心である東京であっても、ちょっと高い建物に登って外を望めば、遠くに緑に生い茂った山々を見ることが出来るでしょう。

私たち日本人にとって、森林は非常に親しみ深いものです。

少なくとも、緑に生い茂った山々の風景は、砂漠の風景や草原の風景に比べれば私たちにとって見知った風景ですよね。

そんな森林から私たちは日々の糧を得て生きてきました。タイトルにもある通り、おじいさんは山へ芝刈りに行くのです。山から水、燃料、食料に至るまで私たち日本人は頂いてきました。

そう、日本人は古来から山と共に暮らしているのです。

人と関わる森林・人が関わらない森林

森林に関して、皆さんが思い浮かべる森林の風景はいかがでしょう?

うっそうと茂った日の射さない深い森林を思い浮かべるでしょうか?
それともある程度日が射している開けたところでしょうか?

少し言葉で話すと想像しにくいかもしれませんね。

では次の二つの写真だと、どちらが想像の森林に近いでしょうか?

Aの森林
Bの森林

どちらもきれいな森林の姿です。どちらも想像の森林と一緒といっても差支えないかもしれませんが、皆さんにとってより身近に感じるのは、Aの森林ではないでしょうか?
Bの森林は一つ一つの木々が太く、また山肌には大きな石とコケがおおわれていて、何となく神秘的な感情が湧いてくる森林となっています。
一方でAの森林は、下の草が生い茂っているけれども日が射しており、平地で非常に歩きやすそうです。木々もまっすぐ生えていて、少し人の手入れをすればきれいな公園にすることが出来そうです。非常に親しみやすい森林じゃないかなと思います。

何となく想像がついていますね。そうです。Aの森林は人の手が入っています。よく見ると、Bの森林は木々が列状に並んでいることが分かるでしょう。そして木々の太さもさほど変わらないですね。これは人工林の特徴です。
そして、その逆。木々が等間隔に並んでおらず、木々の樹齢もまばら。ともすれば地面が危ない石でごろごろしている。これは天然林の特徴です。
左の写真は、山梨の河口湖周辺の人工林。右の写真は、鹿児島の屋久島の天然林です。

この天然林と人工林の違い。そして人との関わりこそが、日本の森林を考える上で、一番重要になってきます。

【人工林(二次林)と天然林と人】

人工林と天然林の違いはわかりやすいですね。人工林は人の手が入っている森林のことです。杉林だったり、桧(ひのき)林だったり、コナラ、ブナの林だったり。シイノキやクスノキだって人が植えたものがわんさかあります。

コナラ・ブナ・シイノキって?と思うのでしたら、どんぐりの木だと思っていてください。実はどんぐりもいろんな種類があるもので、その種類によって美味しかったり、美味しくなかったりもするのです。私達、人間も縄文時代にはとって食べていましたが、今ではどんぐりは森林に住む動物にとって貴重な栄養源です。リスや狸などの小動物から、猪や熊に至るまで、みんなのご飯だったりします。

話がそれました。

人が木々を植えた森林のことを総称して人工林といいます。建物の建材利用が主であればスギやヒノキが植えられます。スギ、ヒノキは針葉樹ですので、非常に成長が早く真っ直ぐ育ちます。また広葉樹よりも軽いので運搬が楽であり、大きな柱として木をそのまま運ぶことが容易です。

一方で燃料としての薪を取る目的であればコナラやクヌギ、ブナ、シイなどの広葉樹が植えられます。広葉樹は大きくなるのは遅いですが、その分しっかりとした幹となります。その幹や落葉落枝はまきとして利用すると火の持ちが長い特徴があり、またみきや林床(森林の地表面のこと)にはキノコや山菜が多く出てきやすいです。

日本の田舎では昔から、薪を取りに行くための人工林を集落ごとに持っていましたので、コナラやミズナラ等の広葉樹林が集落の近くには存在します。もし家の近くに、コナラやミズナラなどの広葉樹林があったら、それはほぼ間違いなく人工林です。そして、この人工林は村の共有財産となるのです。村の人みんなで小さな小枝を切り、臨床の落ち葉や枯れ木を拾い、そして邪魔な雑草を刈って肥料や燃料にする。そういった共同作業が村に住むと発生します。この作業は柴刈り(山で燃料となる小枝を拾い、小さな木を伐採すること)と呼ばれます。

そうです。童話の中で「おじいさんが山へ柴刈りに」行くとは、山へ薪を取りに行き、山を手入れすることだったのです。

このように長い年月人の手が加えられ、手入れされていくうちに、自然と他の植物が入ってきたりして、里山は色んな動植物種が生活する共同空間になっていきます。

これが二次林と言われる物です。人工林が時間がたち、自然林と同じように様々な動物種が存在する自然林に近くなった森。それこそが二次林と呼ばれます。二次林は日本各地に存在します。

(福島の里山。目に映る殆どの樹木がコナラ)

人が関わるのは、この二次林、里山と呼ばれる部分だけです。山深くの森林に関しては、日本人も古来からかかわりを持たずに生活してきました。これには日本の宗教観(万物すべてに神が宿る)が密接に関わっています。山深くには霊験あらたかな神様が暮らしており、私たち人が生活する領域とは違うものだと私たちは考えて生きてきたのです。山深くの天然林へ行く人は、昔から修行僧、山伏等と呼ばれるような、神様の力を得たいと考えた人しかいません。

日本人は昔から、森林を神様の住む天然林私たちが利用する里山の二つに分けていたのです。

そして、この里山に行くのは、昔ではごく当たり前の日常だったわけです。

そして、今この当たり前が失われて久しい状況となっています。森林に行くことは、皆さんあるでしょうか。里山で遊んだり、ドングリを拾ったり、薪を集めたり。そんな経験のある人は珍しくなってしまいましたね。人が日常的に入っていた森林に、人が入らなくなったのです

では、そうなったら、どんなことが起こるのか。
「結局自然の木々が立ち並んでいるんだから、人が行かなくなったって問題ないんじゃないの?」
と思うかもしれませんが、それは大きな間違いです。里山の手入れがされないと、里山はすぐに荒廃していくのです。

次回、その点に触れていきましょう。

【まとめ】

いかがでしたでしょうか?今回は森林に関する知識の最初として、人工林と天然林の違い、そして人工林がどうやって二次林になっていくかについての話をしました。

特に、二次林は人が立ち入ることが日常の里山と呼ばれるところでした。だからこそ、童話でさえ「おじいさんは山へ柴刈りに」というのです。

ポイントとして、

・日本の森林の4割は人工林(二次林)
・昔の日本人にとって、人工林に行くのはほとんど日常だった
・人工林は人の入る場所。天然林は神様の住まう場所だった
・人工林に人の手が入らないと、人工林が荒廃する

ということを抑えてみましょう。ちなみにこの天然林に関する思想を読み解けば、高速道路などが天然林を分断することに対して、私たちが科学的な面以上に忌避感を抱く理由が分かるでしょう。

ではまた次回、お会いしましょう。

豆知識

ヒノキによく似た木として、アスナロという木があります。ヒノキより少し小さいこの木の名前の語源は、「明日ヒノキになろう」から来ているのです。

そのため成長を誓う言葉として学習塾などの名前で使われています。

ポイントは葉っぱの裏です。白い部分がYの字になっていたらヒノキ、全体的に白かったらアスナロです。

目次

あなたへの問い

あなたが考える森林の魅力を3つ以上挙げてみよう。

◆筆者プロフィール 橋本長武
福島県出身。大学では環境問題について興味を持ち、農学部森林環境資源科学科に進学。大学院時代にはフィンランドへ研究留学を経験。SDGs×ビジネスの導入コンサルタント、専門学校のプログラミング講師としても活動中。

カテゴリ:自然・環境・動物

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この記事を書いた人

探究百科GATEWAYの編集部です。高校生の「探究」に役立つ情報や探究分野の解説、探究の方法について発信します。(運営:株式会社オーナー)

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