森林コラム②森林の荒廃とは

カテゴリ:自然・環境・動物

どうもこんにちは!第二回になりました。森林についてのコラムです。

是非「前回を見ていないよ」という読者の皆様は、第一回をご覧ください。

今回は森林荒廃とその仕組みについてお話します。

【前回のおさらい】

前回、森林には大きく2種類あることをお伝えしました。

天然林と人工林です。

天然林に関しては神様が住まうような霊験あらたかな場所であり、人工林に関しては私たちの生活と密接に関わっている、人の手が日常的に加えられるような場所、里山と呼ばれる場所でした。

そんな里山に人がそこまで立ち入らなくなって数十年が経ちました。今、里山ではどんな問題が生じているのでしょうか。

【そもそも手入れって何?】

手入れとは、人工林が健全に育つために行うもの。人が植栽した人工林は、当然ですが人が管理しなければなりません。畑や牧場を考えてもらえればわかると思います。畑も、牧場も、人が管理しなければ荒れに荒れてしまうでしょう。

それと同じで、人工林も人が管理しなければなりません。荒れてしまいますからね。

では、森林の手入れとは?

森林の手入れは、大きく分けて3つに分類されます。

1.柴刈り

2.間伐

3.枝打ち

それぞれについて説明していきましょう。

1.柴刈り

第一回で伝えたものですね。「おじいさんは柴刈りに」の柴刈りです。これは、木々の間や地面に生えて来た雑草類を刈る作業になります。健全な木の成長のために、地面の栄養を雑草に取られる訳にはいきません。特に木を植栽したばかりの最初の10〜20年間ほどは重要な作業になります。

この作業はよく雑草の生えた初夏の暑い盛りに行われる大変な作業ですね。

2.間伐

人工林は、植栽する時に、50年後の伐採・収穫する時の森林に比べ、非常に密度高く木を植えます。なぜかというと、まず一番に「密に植えないと、他の植物が成長してしまう」ことが挙げられます。木々の間から、他の様々な木々が生えて来てしまい、結果的に目的の樹木の成長が妨げられてしまうのです。

また、「成長には個体差が生じる」ことも密に植栽する理由の一つとなります。最初から少ない数を植えてしまうと、もしそれらの木々がなんらかの要因で十分に育たなかったら、大きな損害となります。だったら、しっかりとたくさん植えて、成長が良いものだけを選別していく方がより良い木々を育てられる結果となります。

この、成長が良い木を選別し、成長が悪い木は伐採することを間伐といいます。間伐は毎年行うのではなく、何年かに一度で行われ、毎回大体全体の10〜30%くらいの木を切り倒します。

お、結構多いな。と思ったそこのあなた。そうなんです。結構な量の木が、間伐されているのです。

大体最初に植栽される木は5000〜10000本/ha(大体1〜2平方メートルに一本)くらいなのに対し、木の出荷時期である50年目には、木の密度は1000本/haと、大体20%くらいまで減ります。それ以外の木は、間伐されるのです。

間伐された木は、基本的には小さく細分化され森林の中に放置されます。森林が得た栄養を、また長い時間をかけて森林に還すのです。

ただ、これだと非常にもったいないと感じたり、エコじゃない!と思う人もいるでしょう。間伐材をなんとかして私たちが利用できないか。そうです。割り箸などで「間伐材を使用しています」とは、この捨てられる木材を利用しているのですね。

3.枝打ち

意外でしょうが、実は立っている木において光合成を行う葉を茂らせた枝はごく一部です。特にスギやヒノキといった針葉樹だと、木が樹齢を重ねるにつれて、生きている枝の本数は少なくなります。というのも、木が若い時にできた枝は成長すると木の下部に位置するようになり、枝に葉を茂らせても光合成をするための光がそこまで届かなくなってしまうためです。

そのため、木が成長すると下にある使わなくなった枝はなんと枯死してしまうのです。

これを放置すると、時間経過で脆くなった枝がいきなり折れて私たちの頭上に落ちてきたり、木々がまっすぐ成長することを阻害してしまったりします。そのため、枝打ちという作業は特に針葉樹林においては欠かせないお仕事になるのです。

枝打ちに関する自作イラスト。まるでバオバブの木みたいになってしまった…

以上が、森林の手入れの内容となります。

まとめると、

1.柴刈りで森林の床(林床)の掃除をし、2.間伐でいらなくなった木を切り捨て、3.枝打ちで危険な枝を払うのです。

これらを行うことで、綺麗で安全な森林が保たれるのです。

【森林の機能と荒廃】

森林の荒廃についての話をする前に、森林の持つ機能を説明していきましょう。

森林が持つ機能は多岐にわたりますが、代表的なものをあげましょう。

  1. 二酸化炭素を吸収する

これは、木が成長することによる効果です。木は空気中の二酸化炭素を吸収し、成長します。そのため、木の成長と密接な関係があります。

  1. 緑のダムとして雨水を保持する

これは森林の表面が関係しています。森林の林床に落ち葉があり、その下の土が有機物(落ち葉や枝が分解されたもの)でいっぱいの土となっていると、土がよく水を吸収できるようになるのです。これにより、森林に降り注いだ雨は、土に吸収され、その後長い年月を経て川へと注がれるようになるのです。

  1. 野生動物の住処となり、生物多様性を保全する

いうまでもないことかもしれませんね。森林には野生動物が住むことのできる自然が存在しています。この野生動物の住む場所としての森林こそ、生物多様性を育むものとなります。

  1. 山肌の劣化を防ぐ

森林が山肌を覆うことで、実は山肌の劣化を防いでいます。実は、雨は地面にとっては敵です。学校の校庭を思い浮かべてみてください。非常に硬くて、雑草も生えてこない。雨が降ったらすぐに水浸し。そんな特徴を持っていないでしょうか。これは、雨粒が地面の表面に降り注いでしまうことが原因なのです。雨が直接地面に降り注ぐ衝撃で、少しずつ地面は硬くなります。そして硬くなると、2の機能も失ってしまい、雨がすぐに川に注がれてしまい、突発的な洪水を引き起こしてしまうのです。

このように地面が硬くなることを、森林は防いでいます。木の根が地面をほぐし、葉っぱは雨粒が直接地表面に降り注ぐことを阻止し、そして落ち葉や枯れ枝が地表面を覆うからです。

この4つです。

それぞれがとても重要で、どれひとつとしてかけてはなりません。では、森林の手入れをしないと、どのような影響が起こるのでしょうか。

【間伐の効果】

間伐は、実は森林における二酸化炭素の吸収を促進する効果があります。木を切って、二酸化炭素吸収が促進すると言われると、嘘っぽく聞こえるかもしれませんが、多くの木が生えているからと言って、それらが多くの二酸化炭素を吸収するとは限らないのです。

間伐されなかった木は、実はそのまま森林内での競争に負け、立ったまま枯れる通称立ち枯れとなります。立ち枯れとなってしまった木はただただ森林内で空間を圧迫し、生きている木が成長することを阻害してしまいます。その結果、森林全体での二酸化炭素吸収量が減少するのです。

このグラフは炭素固定量(二酸化炭素吸収量)の種類別・管理別の推移になります。

見てもらえれば分かりますが、特に40年経過したスギ・ヒノキの炭素固定量が著しく異なっていることが分かります。このように、特にスギヒノキの人工林は、人の手が加えられることによって、機能性が非常に向上するのです。

【柴刈りの効果】

柴刈りでは、林床の雑草を刈るだけでなく土壌に栄養を与える効果等もあります。刈った雑草は林床に放置することで、林床を豊かにさせ土壌が流出することを防止します。

この柴刈りによって森林の土壌が保たれるのです。

【枝打ちの効果】

枝打ちをしないと、私たちにとって危険です。風が強い日や、雨の日に腐食した枝が頭上から落っこちてくることで、実際に怪我をした例は多くあります。また、実は日差しという点でも枝打ちは重要です。枝打ちをしないと、大切な日差しが林床に届かなくなり、次世代の樹木が生えなくなります。また樹木が溜め込んだ栄養が土に還らなくなるので土壌の貧栄養化を招いてしまうのです。

【まとめ】

いかがでしたでしょう?森林の手入れって環境的にも、私たちの生活的にも重要だなと思っていただけたでしょうか。

今現在、国のほとんどの森林が手入れされず、放置され続けています。そして、その結果として放置林は蔦や笹が生い茂り、木々は立ち枯れを起こし荒廃し、さらに手入れがされにくくなって行きます。

次回は、ではなぜそのようなことが起きたのか。そもそも、なぜ日本にはこれほどまでに人工林が多いのかということに触れていきます。

実は第二次世界大戦の影響があったりもするのです。是非第3回でまたお会いしましょう!

あなたへの問い

あなたがこの記事を読んで感じた、森林を手入れする大切さを挙げてみましょう。

参考資料一覧

https://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/10266.pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfs/89/3/89_3_217/_pdf

https://www.pref.mie.lg.jp/ringi/hp/80745046137.htm

カテゴリ:自然・環境・動物

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この記事を書いた人

探究百科GATEWAYの編集部です。高校生の「探究」に役立つ情報や探究分野の解説、探究の方法について発信します。

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