「宮城発の石鹸で生活を豊かに」

宮城県女川町のシーパルピア女川に「三陸石鹸工房KURIYA」を構える、厨(くりや)勝義さん。宮城県産の素材を使った石鹸は、色とりどりでバリエーションに富んでいます。そんな厨さんに、石鹸づくりを通して見つけた、この先さらにやっていきたいことについても伺いました。

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ワークショップへの参加が転機に

僕は福岡県の出身です。東日本大震災のボランティアに参加したことがきっかけで、2011年7月に宮城県南三陸町へ移住してきました。

仮設住宅では、コミュニティ作りの一環で「編み物」や「ものづくり」が行われていました。ある日「厨さんもやっていきませんか」と声をかけられたのが、石けん作りのワークショップ。周りは女性ばかりで男性は少なく、正直そんなに乗り気じゃなかったんですけど(笑)加わってみたら、参加してる方の熱量が半端なかったんですよね。「どんなハーブを入れよう」「どんな香りにしよう」って。その時の印象が強くあって、2014年くらいに「浜のお母さんが作るわかめ石けん」ができないかお母さんたちに聞いてみました。すると「昔から廃油石けんを作っていたよ」「廃油をそのまま海に流すと汚染がひどいけど、石けんにして使って流すと100分の1くらいですむから」と話していました。もう石けんを作れる人がここにはいるんだ、とわかって、すでに起業されている先輩に石鹸の作り方を習い、古い家を借りて石鹸工房を開きました。2015年10月、女川の仮設商店街に空き店舗ができた、と商工会の人からお誘いをいただいて、そこで店を始めました。2016年、商店街がオープンし、本格的にお店になった、という経緯です。

多種多様な石鹸作り

三陸石鹸工房KURIYAという名前で、JR女川駅前にあるシーパルピア女川商店街で石鹸を販売しています。


店舗は木曜から月曜までオープンし、火・水曜がお休みです。ここで石けんを作っていて、店舗には常時12種類出しています。竹炭やわかめ、米ぬかやはちみつなど、宮城県内の産品を入れた、見た目も香りも楽しめる石鹸たちです。
宮城県内の天然素材にこだわっている理由は、宮城県で事業を行っているからです。
他の土地のものを使うのならば、宮城県で事業をやる意味が薄くなってしまう、と思っています。

石けんは、油に苛性ソーダを加えかき混ぜた後、型に入れて数日固まるのを待ちます。型から外し、カットをした後、1ヶ月程度風通しのよいところで熟成させて完成です。こんなに時間がかかるとは思いませんよね。

今、石鹸を使う人と使わない人で二極化しています。アレルギーを持っている方にとっては、液体のボディソープは強すぎるようです。添加物に反応して肌が荒れてしまうので、添加物の入っていない石鹸を探している方もいらっしゃいます。

また、最近ペットのための無香料・完全無添加の石鹸も作りました。

人間の嗅覚の1000倍近い動物たちに、人間と同じ香りのついた石鹸やシャンプーを使ったら「くさい」って思っているんじゃないかな、って。人間よりも動物の方が小さいから、成分にしても匂いにしても、弱いわけですし。あとははちみつ入り、竹炭入り、のように、いくつかのバリエーションをつけています。

生活にいい影響を

ライフスタイルにいい影響を与えるようなことをやりたいと思っています。

すごく元も子もないことなんですけど、「石鹸で肌は良くなりません」って、時々お伝えすることがあります。

肌を良くするには、生活習慣を良くするしかないんです。最近睡眠が足りていない、食事を抜きがち、とかをほったらかしたままで、何とかごまかすのは難しい。そういう生活は身体に良くないよね、っていう点に目が行く人はなかなかいないんですよね。

なので、生活そのものを見直せるといいな、という思いで、オリジナルのお茶を作ってみました。夜、テレビもスマホもゲームも手放して、本を読んで、温かいお茶飲んで、そのまま寝ましょう、っていうシチュエーションを作りたくて。

そのほかには、朝起きて飲むお茶、おやつの時間に飲むお茶。おやつを食べながらお話して、ストレスを手放してくださいっていうことを促すような商品にシフトしていこうかなと思っています。同じお菓子でも、添加物の多いスナック菓子ではなく、作った人が見える近所のお菓子屋さんのお菓子を食べる、とか。

取材後に完成した、地元素材のお菓子

健康って自分でたどり着かないと、人から言われてもなかなか気づくのは難しいものなんですよね。そして、一瞬で結果が出ることにみんな慣れているので・・・そんなことないよ、って。魔法みたいな方法は存在しないように、健康も同じです。なので、石けん屋さん、から、生活整えやさんになりたい。ここに来たら、自分に足りてないところを補って、バランスを整えていくために必要なものがあるっていう感じが理想です。

おすすめの本
田中慶子「不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由」(祥伝社)

レールを外れると成功できないという思い込みを破壊してくれるから。

本の情報:国立国会図書館リサーチ


写真提供=厨さん

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この記事を書いた人

東京都三鷹市生まれ、とはいえ宮城県仙台市での生活が人生で一番長くなった。 好奇心のアンテナが向いた事には自ら飛び込んでいくスタイルで、ジャンルレスの活動を続ける。 朗読ユニット100グラード主宰、荒浜のめぐみキッチン活動メンバー。

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