地域で経済が回る仕組みを創る

今回ご紹介するのは、福島県いわき市に拠点を置く「株式会社 47PLANNING」代表の鈴木賢治さん。鈴木さんは、東日本大震災によって震災の影響を受けたいわき市の空きシャッター街を年間10万人訪れる場所に再生させました。その他にも様々な地域活性化事業に取り組み、「日本をより良くしたい」と志す鈴木さんのストーリーをどうぞお読みください。

目次

前進し、自分にできることを

 私は生まれてから高校を卒業するまで、ずっといわき市で暮らしていました。大学進学を機に上京し、大学卒業後はイベント会社を経て、2009年に「株式会社 47PLANNING」を創業しました。

 「47PLANNING」は、北海道から沖縄まで、全国各地の商業施設の運営や街づくりに携わり、地域の魅力を活かして観光人口・交流人口を増やし、47都道府県を活性化することを目的として立ち上げました。創業して2年後の2011年には、福島の魅力を全国に発信すべく、東京で福島の郷土料理の飲食店のオープンを控えていました。

 しかし、2011年3月に東日本大震災が発生。私の実家は全壊し、知り合いも他界しました。しかし、震災が起こった翌日には、私はすでに前を向いていました。もちろん悲しみや不安もありましたが、これから私はどう生きていくべきか、頭の中でしっかりと整理できていたためです。震災によって旅立たれた方々に恥ずかしくない生き方をしなければならない。自分自身も死ぬ時に後悔したくない。震災をきっかけに「当たり前」は存在しないことを実感したからこそ、今自分にできることを全力でやり抜くことが私の使命だと感じました。

 「47PLANNING」としての経営も厳しい状況ではありましたが、「できるかできないか」ではなく「やるかやらないか」に焦点を当て、47都道府県の活性化に向けて再スタートを切りました。震災直後にいわき市四倉町で500食分の炊き出しを行ったところ、参加者の方から涙を流して喜んで頂き、私自身も「やってよかった」と嬉しい気持ちになりました。一方で、直接的に復興には繋がらないことを実感したのです。単発的ではなく、継続的に経済が回る仕組みが必要だと感じました。

 そして、いわき市で「風評被害払拭・自立促進・雇用達成」のためにと考案したのが復興飲食店街です。JRいわき駅近くの空きシャッター街を活用して、復興飲食店街を作りました。営業をスタートした2011年11月には、2店舗の飲食店のみでしたが、2022年現在では13店舗の飲食店が軒を連ね、年間10万人が訪れる人気飲食店街となりました。震災からの復興はもちろんですが、震災前よりも魅力あるいわきを目指して営業をしています。そして、この飲食店街の名前は「夜明け市場」。「明けない夜はない」という合言葉を掲げて、日々営業しています。

経済が回る仕組みづくり

 現在「47PLANNING」がいわき市で行っている事業は、「夜明け市場」のほかに「いわきFCオフィシャルカフェ」の運営があります。復興支援のためにできたサッカーチーム「いわきFC」とコラボし、いわきFCパーク3Fに「RED & BLUE CAFE」として営業しています。お豆腐を練りこんだパンケーキと自家焙煎のコーヒーがイチオシですので、皆様ぜひお召し上がりください。

 また、弊社は福島県だけでなく全国的な地域活性を志しているため、県外での事業にも力を入れています。特に力を入れているのが、「BYAKU Narai」という長野県塩尻市にある宿泊施設の経営です。塩尻市の「奈良井宿」は、日本の情緒や歴史を色濃く残す宿場町です。知名度も人気もある奈良井宿ですが、観光客の奈良井宿での支出平均額は900円。建造物の1/3は空き家になりかけている現状に危機感を抱き、奈良井宿全体の活性化を図る「BYAKU Narai」を開業しました。郷土料理を提供するレストランをメインとし、宿泊も可能な施設の形態、「オーベルジュ」式で運営しています。

 また、「BYAKU Narai」のもう1つの特徴は、宿泊施設が点在する「アルベルゴ・ディフーゾ」の形をとっていることです。通常の宿泊施設では、1つの建物内にフロントも客室もレストランもすべて揃っていますが、「BYAKU Narai」では、フロントが1つに対して、宿泊できる建物が町中に点在して営業しています。これは、1つの建物だけの売上向上を図るのではなく、町ぐるみで活性化に励むために用いた考えです。また、レストランで提供する食材・漆器は地域のものを使用し、調理するシェフも地域の一流シェフが担当しています。「景色が一望できる場所で、地元の食材を、手にしっとりとなじむ漆器で、一流のシェフによって」出来上がる「BYAKU Narai」の料理はとても高い人気を誇っています。レストランで用いる食材や漆器で気に入っていただけた物は、全て奈良井宿の町で購入可能なため、お土産に買っていかれる方も多くいらっしゃいます。

 そして、今の地域の課題は「地産地消」に留まっていることだと考えます。よく耳にする「地産地消」という言葉ですが、そこに利益が発生し、経済が回る仕組みを作らなければ地域は発展しません。そのため私たちは地産地消だけでなく、「地益」として地域全体に利益が出るような仕組みづくりを心がけています。通常の宿泊施設では、お客さんと宿の一本線しかできないはずの繋がりが、食材の生産者や漆器職人などの方々との繋がりで線が多くなり、「また帰りたい」と思ってもらえるような環境づくりを心がけています。地域とともに成長することを第一に、今後も営業を続けていきます。

◆未来へ向けて・高校生へのメッセージ

 高校生のみなさんには、やりたいと思ったことは、臆せず何でも挑戦してみてほしいと考えています。踏み出さなければ何も始まりません。「もし失敗したら…」と不安になることもあると思いますが、失敗しても祈りは取られないので安心してください。そしてひたむきに努力するあなたの姿を見て、必ず応援してくれる誰かが現れます。

 高校生の皆さんは進路について考えることが多いと思いますが、もう一度「自分が将来何になりたいのか」という原点について、じっくり考えてみてください。高校生のうちからでも、長期休みを利用してインターンシップに参加したり、若手経営者の話を聞いたりと、刺激をもらえるチャンスはいくらでもあります。最後になりますが、人生はできるかできないかではなく、「やるかやらないか」です。一度きりの皆さんの人生、後悔のないようがむしゃらに挑戦し続けていってください。応援しています!

おすすめの本
デール・カーネギー「人を動かす」/(創元社)

80年以上前の本ですが、より良い人間関係を作るためにはどうすれば良いかが綴られていて、とても勉強になります。

(本の情報:国立国会図書館リサーチ)

写真提供=鈴木さん

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この記事を書いた人

地域で挑戦する人や企業を豊かにすることを目的とした福島創業のチーム。 ライターやデザイナー、映像クリエイター、エンジニア等といったプロが集まり、 各々の専門スキルや個性を活かしながら、関わるお客様や地域の資本を豊かにするため活動している。

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