「今日もOK!」福島を発信する若者のコミュニティを作る

福島県郡山市出身で、現在は南相馬市小高区を拠点に活動している大川翔(おおかわかける)さん。大学生時代から福島県内最大級の学生コミュニティを立ち上げ、次世代人財教育プログラム「Fukushimafrogs」の提供をはじめています。なぜ地元・福島のために活動しているのか、その思いをお伝えします

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「福島」に興味を持っ

今日もOK!私は福島県郡山市出身で、18年福島で育ちましたが、東京の大学に進学するまでは特に福島に強い思い入れはありませんでした。しかし大学進学後、県外出身の同級生には、福島に対して東日本大震災に対するマイナスイメージが残っていることや、福島の魅力が伝わっていない現状を目の当たりにしました。

この出来事が、私が福島に興味を持った原点です。まずは自分自身が地元福島ともっとつながるがって魅力を知る必要があると考え、大学2年次には、「きたまる」という首都圏からふるさとの東北地方を盛り上げる団体の学生代表を務めました。首都圏の学生を福島に招待し、地域のお祭りや農業体験等を通じて伝統や魅力を伝えるスタディツアーを開催しました。自分の出身地である郡山市以外の市町村に訪れるたびに新たな発見や学びが沢山ありましたし、ツアーで関わる地元の大人の“地域愛”を身にしみて感じて、とても刺激を受けました。

また、福島県会津地方の情報発信を行う「あいづっぺでぃあ」という取り組みでも学生統括を担当。父が経営する会社でも、広報戦略室長として福島の特産品を県外に積極的に販売・SNS発信を行いました。どれもやりがいがあってとても楽しくて、私は改めて福島が大好きだなと心から思ったんです。

大好きな福島の魅力を自分自身の手で若者に発信していきたい。福島出身の同年代から聞こえてくる「福島何もないよね」「東京に出たい」の声を変えていきたい。それを“仕事”にしたいと思うようになりました。

仲間と共に魅力を発信

福島への想いが強まった学生時代に、私はともに福島の魅力を発信する仲間を見つけようと考え、県内最大級の若者コミュニティSpread From Fukushima(通称:SFF)を立ち上げました。「学生のやりたいに挑戦できる環境」というテーマのもと、福島に想いがある若者が集まり、福島の魅力をPRする様々なプロジェクトを行っています。震災から10年経った2021年には福島県産品を福島の学生500名に届け、食を通じて福島の「今」を発信する一大プロジェクトを実施しました。クラウドファンディングで目標の350万円を上回る362万円を支援していただき、プロジェクトは大成功となりました。そのほかにも「郡山飲食店総選挙」として地元の高校生700名にアンケートを実施したり、「ユメフク」と題してユメを持つフクシマの人をInstagramで発信したりと、SNSの情報発信にも力を入れています!

現在SFFはプロジェクトに関わってくれるメンバーが約60名、LINE公式アカウントの登録者は約600名、SNSの総フォロワー数は6,500人を超える大規模なコミュニティに発展しています。「同年代の学生がSFFで頑張る姿に刺激されて興味を持った」という学生や、「頑張る学生を応援したい」と活動を支援してくださる大人の方のおかげでここまで成長できたのだと思います。SFFを立ち上げてよかったと思うことは、関わってくれたメンバーの学生が「将来も福島で働きたいと思うようになった」「SFFを通して自分のやりたいことや強みを見つけられた」と言ってくれることです。福島の若者が、スキルや経験を積むために一度は就職や進学で県外に出ても、将来は大好きな福島に戻って活躍したいと思ってくれたら良いなと思います。

大学卒業後は南相馬市の小高区に移住。移住促進を目的とした観光客のツアーガイドを1年間務め、2022年5月からは個人事業主「今日もOK」として福島の魅力を全国、全世界に発信すべく活動しています。

あわせて、「Fukushimafrogs」という2022年に福島で発足した学生向けの人財育成プログラムの代表も務めています。このプログラムのテーマは、「This is me!(これが私)」。一人ひとりが持つ強みや個性を大切にできるようにと、私や福島の運営メンバーが熟考を重ねてテーマを決めました。

数々の経営者からの講義や、海外研修といったプログラムに無料で参加可能。教育の経済格差をなくし、意欲ある学生にひろく学びの機会を提供しています。その資金を協賛企業やクラウドファンディングで集めるのはとても困難でしたが、学生が一歩踏み出せる環境を創りたいという強い思いで、がむしゃらに取り組み続けました。SFFも「Fukushimafrogs」も、学生が一歩踏み出せるきっかけの場となり、そこでの学びや経験から、福島への想いがもっと強くなってくれたらうれしいです。

一歩踏み出してみる

学生のうちにさまざまなバックグラウンドを持つ大人と出会って、沢山吸収してほしいと思います。学校以外のコミュニティやプログラムにも積極的に参加して、自分の視野を広げることもとても大切です。限られた空間で見える景色はとても狭くて、世界はもっと広いということを忘れないでください。最初踏み出すのは勇気が要りますが、踏み出してみると新たな発見や学びが沢山あります。「frogs」(蛙、かえる)の由来は、「井の中の蛙大海を知らず」ということわざです。皆さんが井の中の蛙にならず、どんどん大海に出て活躍していってほしいと心から願っています。

SFFのモットーでもある「まずはやってみっぺ!」の精神で積極的に一歩踏み出してみてほしいです。私も皆さんが一歩踏み出す勇気を与えられるような環境を充実させられるように精一杯頑張ります!

そして最後に、私のモットー「今日もOK!」について。この意味は単に私の名前(大川翔)のイニシャルで覚えてもらうためでもありますが、一番は自分にも他者にもOKを出して認めようという想いが込められています。自分に自信がなくて卑下してしまう人、なかなか周りの人を認められない人、沢山いると思います。だからこそ、自分にも他者にもOKを出し合って認め合う社会を創りたいと思い、モットーとして掲げています。

皆さん、今日もOK!皆さんが一歩踏み出すその勇気、心から応援しています!

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「グレイテスト・ショーマン」

サラリーマンだった主人公が会社を辞めて、個性ある仲間たちとショーを作り上げる物語です。一歩踏み出す勇気、夫婦愛や家族愛、個性や多様性の尊重…人として大切なことがたくさん詰まった映画です。また、この映画内の有名な台詞「This is me!」は、個性を育む「Fukushimafrogs」にぴったりだと考え、プログラムのテーマにもなっています。


写真提供=大川さん

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この記事を書いた人

地域で挑戦する人や企業を豊かにすることを目的とした福島創業のチーム。 ライターやデザイナー、映像クリエイター、エンジニア等といったプロが集まり、 各々の専門スキルや個性を活かしながら、関わるお客様や地域の資本を豊かにするため活動している。

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