患者さんの体と心に寄り添う接骨院から、喜びの輪を広める

仙台市を拠点に接骨院などを経営している「株式会社よくする」代表取締役の鈴木盛登さん、柔道整復師の資格を持ちながら接骨院を多店舗展開し、患者さんの体だけではなく、心にも寄り添う治療をされています。治療家として、そして経営者としての思いを伺いました。

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「柔道整復師」として働く

「柔道整復師」という資格は、骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷に対して治療を行える国家資格です。日本古来の「柔術」に由来する治療法で、古くから「ほねつぎ」として知られてきました。私ももともと柔道をしていて、柔道整復師の仕事は身近にあり、自然と柔道整復師を目指すようになりました。父親も柔道の師範で、接骨院を開業していました。専門学校で柔道整復師の資格を取り、接骨院で3年間技術を学び、整形外科のリハビリスタッフとして3年勤務した後、父親と一緒に2年間働きました。合計8年間治療の技術を学び、2000年に父親が作った接骨院を引き継ぎました。現在は「鈴木接骨院グループ」として、仙台市内に9店舗を出店しています。体の肩、首、腰、関節の痛みなどを改善するために、日々スタッフとともに患者さんの治療に取り組んでいます。

手当てをすること

接骨院で働く私たちの仕事は何か、と考えると、「手当てをすること」だと思っています。高度な医療については、お医者さんにはかないません。お医者さんがみきれないところをやるのが私たちのやるべきことだと考えています。医者の治療でも取れない痛みはあります。痛みがどこかにあれば、感情はプラスになりません。でも痛みが取れた!というのは未来や人生に希望を持つことにつながると考えています。

私たちはお医者さんよりもよく話が聞けるし、話を聞いた人が手を当てて、その言葉通りに「手当て」をすることができる。手で直接触れることで人としての温かみを伝えながら治療ができると考えています。「鈴木接骨院グループ」のロゴマークも「手」のマークにしています。これは「Hand Bird(ハンドバード)」と名付けたのですが、私達の手を通して、体だけではなく心も元気になってもらう事で、人生をより豊かにより快適に歩んで欲しい。大きな羽を広げ人生を楽しんで欲しい。という想いを込めています。

そのような思いのもと、自分たちで独自の治療法の開発にも取り組んできました。「インナーマッスル光療法」といって、筋肉の深部を治療する方法です。人間の筋肉は二層になっていると言われていて、表面の「アウターマッスル」と深いところにある「インナーマッスル」があり、その奥に骨があり、内臓があり…という形になっています。表面の筋肉をもんでいるだけでは、痛みの原因にもなっている深部の筋肉をほぐすことはできません。なので深部の筋肉にもアプローチができる治療法を考えました。

「体と心」の両面を元気に

患者さんには「親切・丁寧・まごころ」を心掛けて接しています。私たちは「手」を当てているからこそ「親切・丁寧・まごころ」がその手を通して患者さんに伝わっていくからです。逆に心が乱れていると、手が雑になってしまう。だからこそ「親切・丁寧・まごころ」が大切だと考えています。

また、「体」だけではなく「体と心」の両面を元気にすることを心掛けています。実は痛みを抱えているようでも、話を聞いていると、心のストレスがその痛みの原因の一つだということがあると感じています。例えば、小学生の頃から肩こり…という大人の方の治療をすることがあります。その方は何十年と慢性の肩こりと自覚しており、マッサージ店に行っても、病院に行っても、他の接骨院に行っても変わらない…と話されていました。

その方に肩の治療だけをしても対症療法となります。

我々柔道整復師の資格を持っている者は、小学生の頃に肩がこるということは解剖学的に考えられないのを知っています、人間の体の成長は20歳まで続くからです。

ただその方はそう話しているのでそこは否定せずに、小学生の頃、肩がこりはじめた時と認識している時になにかあったのか?ということを治療しながら聞いています。すると小学生の頃にご家庭で問題があったり、何かしら心的ストレスを感じる出来事があったりするのです。

ある意味患者様、お客様に寄り添い、医学的かつ人間愛的に関わり、お体の変化だけではなく、そのお体の原因がストレスや何十年前のプライベートの出来事の場合、そこに気付いていただく関わりをしています。例えば背中に手を当てながら、「他に、何かあったんですか?」と聞いてみる。すると本人が心のストレスに、気づくこともあります。その本人が気づいたり、考えたりすることがとても大切だと考えています。すると10年、20年続いたような痛みが取れることもあるのです。

心にふたをしている方、それが原因で体調に現れている方、とても多いと感じています。

接骨院、整骨院には原因がはっきりしないが体調が優れない「不定愁訴(ふていしゅうそ)」という症状の方も来院されます。心のふたが開き、自分らしく生きていけるとなると心も身体もどんどん改善の方向へ向かいます。

どこに行っても良くならなかった肩こり、腰痛がここで良くなった!これが我々が一番嬉しい言葉でやり甲斐です。

私たちは接骨院をやっていますが、体のことだけではなく心のことも勉強しないといけないと思い、心理学の勉強もしています。心理カウンセラーの方のように専門的なことはできませんが、悩みごとに対して、それを解消できるようなお手伝いができればと考えています。もちろん体のことについても、勉強を重ねなければなりません。人によって症例は様々です。体の痛め方、痛みの表現の仕方も人によって違います。すべての患者さんに対応するためには常に知識を取り入れながら勉強することが大切だと考えています。あらゆる情報を入れて、ずっと学び続けていかないといけないと、患者さんに必要とされるような治療はできないと考えています。

 私たちはプロバスケットボールチームの仙台89ERSやマイナビ仙台レディース、ベガルタ仙台ユース・アカデミーのトレーナー業務も行っており、地域のプロスポーツチームのサポートも行っています。最初は仙台89ERSの創設者の方が整体院に通っていただいたというご縁からプロスポーツチームとのご縁ができました。スポーツチームに関われるということで、私たちのグループに入社したい、という若い方々もたくさんいます。

 スポーツチームのトレーナーとして関わる社員は、日本スポーツ協会公認のアスレティックトレーナーという資格を持っています。アスレティックトレーナーはスポーツトレーナーとしての知識を持っています。アスレティックトレーナーを講師にして社内で勉強会を開催することもあり、治療技術の向上に役立っています。

「喜びを広める源」を作る

 接骨院など9店舗を展開していますが、私たちがやっているのは「場所づくり」だと考えています。それも、そんな、「喜びを広める源」のような場所、源泉のような場所を作っていきたいと考えています。お母さんの体と心の痛みが取れて、何か嬉しいなと思ってくれて、ご飯のおかずが何か一品増えればいいな、という気持ちでサポートを行っています。

 喜びを広める場所を作っているのが私たちなので、接骨院というのは一つの手段。今後は接骨院以外の事業にも挑戦をしていきたいと考えていますし、海外にも活動の場所を広められるような準備をしています。人生の舵を取るのは自分。みなさんの未来は自由に描く事ができます。悔いのない人生を歩んでください。

おすすめの本
青木仁志「一生折れない自信のつくりかた」(アチーブメント出版)

世の中がどうであれ、周りの環境がどうであれ、 自信をもって人生を歩むことは誰にでもできます。 自信とは自分を信じる心です。 自信のある人は良い人生を歩む事ができます。
是非読んでいただきたいです。

(本の情報:国立国会図書館サーチ)


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この記事を書いた人

東京大学教育学部卒業後、全国紙の新聞記者として広島総局・姫路支局に勤務し事件事故、高校野球、教育、選挙など幅広い分野を取材。民間企業を経て、2021年に株式会社オーナーを起業し、本教材「探究百科GATEWAY」を開発し編集長を務める。

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