若者が気軽に集まることができる場を立ち上げる

福島市出身の小山憂大さんは「若者が気軽に集まれる場を福島で作りたい」と考え、実際に短期間で実行に移しました。注目した1つのアイテムが「シーシャ」。日本語で「水たばこ」のことで、専用のパイプを使って、タバコの香りや味わいを楽しむ大人向けの嗜好品です。福島市にこの「シーシャ」専門カフェをオープンした小山憂大さんは、福島の若者たちに向けた特別な想いを持っています。

目次

企業への熱い想い

僕は現在、シーシャ専門カフェ「Chill Day」の経営を中心に、企業のSNS運用代行や、県内でのフットサルイベント主催、若者向けの起業・副業支援事業の立ち上げなど幅広い事業に取り組んでいます。

出身は福島市で、市内の高校を卒業後東京の大学に進学しました。

大学3年生の時に一度別の分野で起業を経験し、卒業してフリーランスとして働き始めた頃、友人の「福島で起業したい」という熱い言葉をきっかけに、すぐに福島に戻って起業することにしました。

起業するにあたってシーシャカフェを選んだのは、「シーシャ」というものが、福島の若者が集まる居場所になると考えたからです。

シーシャは水たばこというだけあって、「身体に悪いもの」というイメージを持たれることが少なくありません。ですが実際には、紙たばこに比べニコチンやタールなどの有害物質が少なく、また煙を吸うときに深呼吸をすることがリラックス効果に繋がるといわれるなど、健康志向の人たちに人気が高まっています。

そしてシーシャの魅力は何より、その空間を皆で楽しむことができるという点にあります。お店にはさまざまな年代や性別、経歴の人が1人でも気軽に立ち寄ることができて、シーシャを囲んで皆が対等に向き合い、話せる空間ができるんです。

しかし、カフェの立ち上げは簡単ではありませんでした。当時、東京都内には約700店舗のシーシャカフェがある一方、福島県内には郡山市に専門店が1店舗、福島市にはシーシャを置いているお店が2店舗のみという状況でした。そもそも「シーシャ」自体を知らない人たちにゼロから認知を広げ、お店の存在も知ってもらわなければなりませんでした。

その上、起業を決めた僕と友人は一般企業で働いたことがありません。社会人経験のない、大学を卒業したばかりの僕たちが他の企業の経営者や大人の人と一から関わるのは難しいことも多かったです。

それでも、起業に対する想いや行動力が僕たちの強みです。僕たちは、駅前で1000人にアンケートを行ったり、カフェの開店資金のためのクラウドファンディングを実施したり、それらを全てSNSで公開して、開店までのあゆみをすべて見てもらえるようにしました。

大学時代に企業のSNS運用をしていたことがあったので、SNSでの発信にはその経験が活きました。SNSを見るのが好きなのですが、ただ投稿を見るのではなく、面白いポイントや見せ方などを研究しながら見ていて、それも事業に活かしています。

「福島で起業しよう」と思い立ってからシーシャカフェ開店までわずか5か月。とにかく考え抜き、がむしゃらに行動し続けた結果、ここまでくることができました。

若者のために、若者が行動を起こす

「若者のために、若者が行動を起こす」ことに意味がある

シーシャカフェを立ち上げ、軌道に乗せていくために意識したのは、「シーシャのことを知ってもらうよりも、まず先に、同世代の若者たちに自分たちが頑張っている様子を見てもらいたい」ということです。

そもそも、「福島には若者が気軽に集まれる場所が少ない」という課題意識がありました。僕自身、大学で福島を離れましたが、同じように若者のコミュニティや居場所が少ないことが、若者が福島を離れる要因の一つになっているのではと考えていたのです。

また、実際に福島で起業して他の経営者と知り合うにつれ、その年齢層が高いことにも気づきました。経営している方の年齢層が高いということは、おのずと提供されるサービスも若者向けにはなりづらいのです。「このままでは、福島の若者は県外に出て行ってしまう。若者向けのサービスは、若者の手で作っていかなければ。」危機感と同時に、使命感も感じました。

この気持ちがシーシャ専門カフェの立ち上げと、SNSで僕たちの活動をすべて発信することに繋がりました。SNSから僕たちやお店の認知が広がって、「若い人が遊べる場ができて嬉しい!」と感謝の声をもらえたときはやりがいを感じました。

「若者のために、若者が行動を起こす」という軸は他に手がけている事業にも共通していて、フットサルイベントの運営や起業・複業支援事業など、方法はさまざまでも「常に福島の若者のために動いていきたい」という想いは一貫して持っています。

若者にとって楽しい場が増えることで、福島に残る若者が増え、「自分も福島のために何かやってみたい」と行動するきっかけに繋がれば良いなと考えています。

自分の意思で選択し、達成する

様々な選択において「自分の意思で選んでいるか?」ということをぜひ考えてみてください。友達や家族、学校の先生など周囲の人の意見に流されてしまうと、自分で選択したはずなのにあとから揺らいでしまったり、努力を怠ってしまったりすることがでてくると思います。自分で考えて選ぶことで、心からの覚悟や自信を持つことができます。

小さなことでも良いので「自分で選び、達成する」という成功体験を積み重ねていってください。

おすすめの本
グレッグ マキューン「エッセンシャル思考- 最少の時間で成果を最大にする」(かんき出版)

就職活動を始めた大学3年生の頃、それまで遊び中心だった大学生活から起業に向かうきっかけになった本です。

(本の情報:国立国会図書館サーチ)

写真提供=小山さん

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この記事を書いた人

地域で挑戦する人や企業を豊かにすることを目的とした福島創業のチーム。 ライターやデザイナー、映像クリエイター、エンジニア等といったプロが集まり、 各々の専門スキルや個性を活かしながら、関わるお客様や地域の資本を豊かにするため活動している。

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