小学生から高校生まで、幅広い子供たちの居場所を作る

福島県矢吹町を拠点に、小学生から高校生まで、幅広い年代を対象にさまざまな取り組みをしている飯塚智崇さん。いったいどんな活動をしているのか。その原動力となっているのは何なのか。「自分主義」を貫く飯塚智崇さんのストーリーです。

目次

自分の言葉を伝える

まず根本には、自分の言葉がしっかり相手に伝わるような人になりたいという想いがあります。言葉って誰が言うかによって伝わり方が全然違くて、僕が言うからこそ、その言葉が意図した通りに伝わるような人でありたいと思っています。そこで、自分の言う言葉の価値を上げるために、行動が伴っていてほしいと思うのです。行動が先にあって言葉があると、その言葉の価値が高くなると思います。だから、自分が必要だと思うものを一番体現できているのが自分でありたいと思っています。あればいいと思うなら、自分で作りたい、行動として形にしていきたいと。

自分の言葉を伝えられるのは誰か?を考えた時に、それは自分より若い世代だなと考えました。理由は、自分が経験してきたことの中から、自分自身がこうしたかった、とかこの経験は良かったとかを伝えやすく、お互いの共感を生みやすいと考えたからです。

子どもの居場所を作る

自分が子どもの立場だったら何が必要かを考えて、小学生、中学生、高校生向けのイベントや居場所作りをしています。例えば小学生対象だったら、自分が小学生だった時に何があったらよかったのかを考えて、現状の子ども達を見た時にそれがちゃんと享受できているのか、足りていないなら何かしてあげたいなと思います。

小学生の時、自分は木に登って遊びまくっていたけれど、今の子ども達は公園に木が生えていなかったり、木登りさせてもらえなかったりするので、木登りできる機会を提供しています。逆に子どもの頃にあまりキャンプをさせてもらえなくてキャンプをしたかった思いがあり、今の子ども達にもキャンプの機会が足りているとは言えないため、キャンプの企画をしたり、冒険広場という小学生対象の自然体験プログラムに関わったりしています。こちらがプログラムを用意するのではなく、遊び道具を用意して基本的に子ども達が自由に遊ぶのを見守っています。火遊びをさせたり、木に登りたい子がいれば登らせたりもします。

私は中学後半から高校の頃は周りの目を気にしすぎて人間関係もうまくいかず、苦しい日々を過ごしていました。そんな中でも中学生の時の塾の先生は、学校のクラスの話とかレベルの高い雑学とか気軽に話せる存在で、高校生になって部活動でつまづいた時などにも相談させてもらっていました。その経験から、普通の進学塾のように卒業したら終わりじゃなくて、継続して関わり続けられる塾の形、勉強以外のことでも気軽に相談できる塾の形を作りたくて中学生に学習と進路選択の両方を支援する取り組みをしています。学校で分からないところを教えつつ雑談もしていて、高校に受かることも応援しつつ、高校入学後も何かあった時に立ち寄ってもらえる人間関係を築くことを重視して生徒と勉強しています。

また、高校生の時、家と学校の往復で、部活動がしんどくても相談できる相手もろくにいなくて、別の選択肢があったらなと思い、学生が学校帰りに気軽に立ち寄れる場所として「self space しおりば」を開きました。

「self space しおりば」は、平日の16時〜21時(現在は育児中のため20時まで)に場所を開けて、来てくれる高校生たちと話をしたり、学校の課題などをやる場所を提供しています。しおりばを作る時から関わってくれている大学生さんはしょっちゅう顔を出してくれるし、通信制の高校生も毎週訪ねてきてくれています。自分と話をしに来てくれてるのが大きいのかなと感じています。

しおりばに2回目来てもらえた時にはこの場所の価値が伝わったんだなと思って嬉しいですね。無料ではなく有料にしているので、その人にとってお金を払ってでも来る価値があると思ってもらえたんだなと。

誰かのためではなく、自分自身がこうありたいと思う姿を突き詰めています。僕が憧れる人は、何かを自分の外に表現してそれを通して誰かに寄り添っている人で、そういう人に自分もなりたいから、自分の表現としてできることをやっています。

職業の先の夢

これから取り組みたいと思っていることは3つあって、1つは対象を幼児まで広げて、プレイパークみたいな遊び場づくりをしたいと思っています。2つ目は、しおりばで本屋さんをやること。3つ目は、プラスステップに対する取り組み。今までやってきたしおりばはマイナスステップに対する取り組みだと思っていて、もっと地域の中で何かやりたいという人のために、地域の中で挑戦しやすい環境を整えていきたいです。

皆さんに伝えたいことは、自分主義であってほしいということです。社会に出ていく中で、課題解決すべきだとか社会が押し付けてくるものってものすごくたくさんあるけれど、そういうのに捉われないで自分が幸せだと思うものに向かって生きていってほしいです。

それから、自分の夢を考える時に、夢が職業になる場合もあるけれど、職業の先にあるものが夢だったりもします。職業に捉われないで、なんでその職業に就きたいのか、どんな暮らしをしたいのか、どんな人のためになりたいのか、職業という名刺に捉われないその先に見据える何かがあると、その手段としての職業が少しずつ見えてくるんじゃないのかなと思っています

おすすめの本
山口つばさ「ブルーピリオド」(講談社)

好きなこととの向き合い方、それを選ぶ勇気をもらえるマンガです。

(本の情報:国立国会図書館サーチ)

写真提供=飯塚さん

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この記事を書いた人

弘前大学で主に社会学を学びつつ、学外で情報発信やwebサイト制作を学びながらライター活動を始める。会社員を経て、2021年に個人事業「ももばち企画」として独立。1対1のオンライン対話プログラム、「"自分を生きる"日常の学びやコミュニティ」運営、自己表現アート対話ワークショップなどを企画している。

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