「飛行機に乗る」だけではない空港の役割

写真提供 仙台国際空港株式会社

以前空港を利用した時に、空港の中にあるおいしそうなレストランやイベントの様子が気になりました。飛行機に乗るのも楽しいですが、それ以外にも楽しいことがありそうです。そこで、「飛行機に乗る場所以外の空港の役割とは何か?」という問いを立てて調べることにしてみました。

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旅の出発点に

2階が飛行機への搭乗口になっており、多くの利用者が行き交っています。エスカレーターを降りて1階に行くと、そこには観光案内所がありました。宮城だけではなく山形や福島など、東北各地の観光パンフレットがおかれ、スタッフの方手作りのイラストで東北の魅力が描かれています。

さらに、ここ仙台空港から山形、福島、岩手に向かうバス路線もあるそうです。レンタカー店もいくつかあり、ここで車を借りて自由に色々なところを回ることもできそうです。髙山さんは「仙台空港は東北の玄関口。旅の出発点としてもPRしていきたいと考えています」と教えてくれました。

さらに1階には「ランナーズポート」というランナー向けの施設が設けられていました。ロッカールームに荷物を預けることができ、シャワー室もあるので快適に利用することができます。空港周辺を回る8.5キロの周遊コースもあり、飛行機を間近に眺めながらのランニングはとても楽しそうです。

他にも、1階にはサイクリング自転車を運ぶ輪行箱専用ロッカーや運んだ自転車を組立て・解体するスペースのサイクリングポート、イベント用のステージなどがあり、「こんなものが空港にあるんだ」という気づきがありました。

空港の可能性を広げていく

さらに、空港の役割について、施設営業部の芦原義幸さんにお話を聞きました。芦原さんは仙台空港のターミナルビル内にある施設や店舗を運営する仕事をしています。子供のころから飛行機が好き。東京で別の仕事をしていたのですが、仙台空港で働く人を募集をしているのを見て転職し東北にやってきたそうです。

仙台空港内では、「東北の玄関口」として東北の美味しいものを発信することにも力を入れているそうです。確かに、空港の中では、牛タンや東北でとれた魚を使った海鮮丼、東北の食材を使ったレストランなど、東北のものが味わえる飲食店が目につきます。

また、力を入れているのが、催事コーナーの運営です。多くの方が行き交う2階に出店コーナーが設けられ、ここでは数日や1週間など短い単位で出店することができます。日替わり・週替わりで多くの出店者さんが出店しているそうです。この日は笹かまぼこや缶詰、お弁当が売られていました。コロナ禍で仙台空港の旅客は減っていますが、芦原さんは空港がある地元住民の方や空港で働く約2,000人にも興味を持たれるような催事出店に力を入れています。

コロナ禍だからこそ、催事コーナーの運営を通して従前のお土産品(牛タン、笹かまぼこ、ずんだなど)だけではなく、様々なカテゴリのお店に出店してもらうことで、空港の可能性を広げたいと話す芦原さん。飛行機にまつわる雑貨のお店が利用者さんから評価されるなど、お客さんからの反響を感じているそうです。

芦原さんは、「空港は非日常が味わえる特別な場所」と話します。確かに、滑走路や飛行機が見られて、たくさんの方々が行き来している空港という場所に行くだけでワクワクしますね。窓の外を見ると、大小さまざまな飛行機が着陸したり、飛び立ったりしています。     仙台空港から北海道の新千歳空港までは1時間と少しで行くことができます。「ふらっと空港に来て、飛行機に乗って、日帰りで帰ってくることだってできますよ」と話します。

芦原さんは「例えば飛行機に乗らない人で空港のターミナルビルがにぎわってもいいですよね」と話していました。最近はSNSやホームページでの発信にも力を入れており、「空港に行けば何かやっているぞ」ということをアピールしていきたいそうです。

「民営化第一号」の仙台空港

広報の髙山さんが、「仙台空港は民営化第1号の空港なんです」と教えてくれました。実は日本の空港は、国が運営するもの、県など地方が運営するものなどに分かれており、仙台空港は2016年に国から民間企業である仙台国際空港株式会社に運営が委託されました。

芦原さんは、この民営化第一号である仙台空港に可能性を感じ、仙台空港で働きたいと考えたそうです。民間の運営になったことで、多様な経験を持つ人たちが空港で働くようになったそうです。芦原さんのように空港や航空業界以外からの転職者も多く、地下鉄や鉄道の運行に携わっていた方もいるそう。働く人たちが持つ経験を組み合わせて、新しいことにチャレンジされていることがわかりました。

◆探究を振り返って

空港は飛行機に乗ったり、降りたりする場所だと思っていたが、美味しいものを食べたり、お土産を買ったり、観光の拠点にしたりと多くの役割があることがわかった。また、「そこで働いている人がどんな人なのか」にも注目するとよさそうなことも分かった。

また、駅やバスターミナル、バス停、フェリー乗り場など交通の拠点となる場所に、どんな役割があるのか気になった。実際に現地に足を運んでみて探究してみたいと思った。

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この記事を書いた人

東京大学教育学部卒業後、全国紙の新聞記者として広島総局・姫路支局に勤務し事件事故、高校野球、教育、選挙など幅広い分野を取材。民間企業を経て、2021年に株式会社オーナーを起業し、本教材「探究百科GATEWAY」を開発し編集長を務める。

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