滞在時間を伸ばすには?「観光地+1」を考える

日本のお城と言えば、どの城を思い浮かべますか?大阪城、名古屋城、熊本城…いろんな城がありますが、世界遺産に指定されている「姫路城」は指折りの美しさを誇っています。

姫路城があるのは兵庫県の西部にある姫路市。人口は55万人ほどのまちです。筆者は24歳だった2014年から1年半、仕事で姫路市に住んでいました。当時、姫路城は2015年に修理を終えて再オープンするタイミングでした。漆喰(しっくい)を塗りなおした真っ白な姫路城の姿には感動を覚えました。

さて、そんなお宝を持っている姫路ですが、1つの課題がありました。それは、日本中、世界中から来た観光客の方々が姫路に泊まってくれないことなのす。実は観光を盛り上げるためには「日帰り」ではなくて「宿泊してもらうこと」が重要です。宿泊すれば、その街の飲食店で夕食を食べ、翌朝も朝食を食べます。もしかしたら、もう1か所観光名所を回ってくれるかもしれないし、商店や交通機関にお金が入るかもしれません。

2015年の姫路城。桜の季節は多くの観光客でにぎわった

しかし、姫路は「日帰り」になってしまう土地柄でした。姫路城を見学した観光客のうち、姫路市内に宿泊するのは約15%というデータもあります。まず、姫路駅には新幹線が止まり、原爆ドームなどがある広島にはたったの1時間で移動できてしまいます。「大阪には快速列車を使えば、1時間ほどで着く距離です。そこから足を延ばせば京都、奈良にもすぐに行くことができます。

加えて、姫路城から駅までが1キロメートルほどという距離も問題でした。駅から近いのは、便利なことなのですが、逆に言えば、城を見ただけで帰ってしまう観光客も出てきてしまいます。

また姫路市内には旅館が少ないということも一因です。例えば温泉があって、旅館があってゆっくりすごせるなら泊まりたくなると思います。ただ姫路市内にあるのは多くがホテルです。課題を整理すると、下記のようになります。

「観光客が宿泊しない」という課題の裏には、「別の観光地に移動する」、「姫路城が駅から近い」、そして「近くに旅館が少ない」という別の課題があるわけですね。

[課題の分解]

そこで姫路の人たちは、あの手この手で「滞在時間」を伸ばす方法を考えます。例えば地元のタクシー会社さんは、お城の周りを半日間かけて周遊するプランを作りました。これなら姫路城を色々な角度から眺められます。写真スポットではタクシーを停めてもらい、スマートフォンなどで写真を撮ることができます。

近くの山から見た姫路城。市街地から浮かび上がるような城の姿を撮影できる

また、姫路城からバスで30分ほどの場所には有名なお寺があります。映画やドラマのロケ地としても有名で、ロープウェーを使って山の上に上がり、そこから30分ほど山道を歩けば、室町時代から残る古いお堂を目にすることができます。ここと組み合わせることで、滞在時間を延ばし姫路をゆっくりと観光してもらうことができます。

また、「朝」に注目した観光プランも作られてきました。例えば姫路城から朝日を見る「朝観光」や朝食に食べられてたっぷりのアーモンドバターが塗られた「アーモンドトースト」などをPRしてきました。

 筆者が姫路で過ごして感じたのは、姫路の人たちが自分たちの街に誇りを持ち、観光客をもてなそうとしていることです。私も姫路の人たちと交流しながら、姫路という町が大好きになりました。みなさんの住む町のアピールしたい魅力は何ですか?

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☆キーワード 日帰り観光 宿泊観光 ワーケーション 湯治

観光において「日帰り」なのか「宿泊」なのかは大きな違いだ。日本の長期宿泊と言えば「湯治」温泉宿に泊まり込み、自炊をしながらゆっくりと過ごす文化が温泉街には残っている。新型コロナの影響で、旅行が制限される中、「どこでも仕事ができる」ことに注目した「ワーケーション」も注目されている。都会で働く人たちに宿泊してもらいながら仕事をしてもらう新たな取り組みだ。

 

あなたへの問い

自分が小学校や中学校の時に行ったことがある場所や地域の中で、「楽しいな」と思った場所はどんなところですか?理由とともに考えてみよう。(例えば研修旅行や修学旅行、親に連れて行ってもらった場所など)

カテゴリ:旅行・観光

◆参考サイト

「巡るたび、出会う旅」東北 東北地方の観光名所や観光に携わる方のインタビューがまとめられている。自分の地域の魅力を知るためにおすすめのサイト
https://dc.tohokukanko.jp/megurutabi-tohoku/

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この記事を書いた人

東京大学教育学部卒業後、全国紙の新聞記者として広島総局・姫路支局に勤務し事件事故、高校野球、教育、選挙など幅広い分野を取材。民間企業を経て、2021年に株式会社オーナーを起業し、本教材「探究百科GATEWAY」を開発し編集長を務める。

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