「自分だけの強みを」仙台市の似顔絵師 がんじーさん

仙台市で15年間似顔絵師として活動しているがんじーさん。なぜ似顔絵を描くことを仕事にしようと思ったのか、そして今後どんな似顔絵師を目指していくのか。「自分だけの強みを持ってほしい」というがんじーさんのストーリーをぜひご覧ください。

目次

似顔絵を仕事にする

私が似顔絵を描き始めたのは高校生の時です。テレビ番組で似顔絵を知り、友人たちの似顔絵を描いていました。すると、友人からびっくりしたという反応をもらえ、嬉しくて似顔絵に熱中していきました。大学1年生の時、仙台市内の公園で開かれているイベントに毎週のように出店し、似顔絵に1枚数百円の値段をつけて販売していました。すると行列ができるようになり、「面白いな」という思いが深まっていきました。

その時、テレビ番組で似顔絵師ナンバー1を決める大会が開催されていました。そこには似顔絵を描くことを職業にしているプロの似顔絵師が数多く出演されていました。

「似顔絵を描くことを仕事にできるんだ」。そう思った私は、テレビ番組に出ていた方々の連絡先をホームページで調べて、連絡を取ってみました。快く承諾をしてくださり、東京を訪問して実際にお話を聞いてみることができました。プロの似顔絵師のパフォーマンスを見る中で、人をびっくりさせ、喜ばせる似顔絵の世界を感じ、自分もこんな仕事がしてみたいという気持ちが湧いてきました。

大学を卒業後、お客さんとの交流を大切にしながら自分のペースで似顔絵を描きたいと考え、仙台で「がんじースタジオ」というスタジオを開いて似顔絵師を始めることに決めました。お客さんがたくさんいる観光地で似顔絵を描くという選択肢もありましたが、どれだけの枚数を描き上げたかが重視されてしまい、お客さんとの交流を図るのが難しいと考えていました。

お客さんのおかげで続けられる

似顔絵は縦横30センチほどの色紙に、水彩の絵の具で描いていきます。誕生日や結婚の記念にお願いされることが多く、また夫婦で、親子で、ペットの犬と一緒に、などいろいろな似顔絵を描いています。似顔絵を描くときには、「その人らしさ」を絵に表現することを心掛けています。他愛もない雑談をしながら緊張をほぐし、その人の魅力を引き出せるようにしています。嬉しいことに、「もう1度似顔絵を描いてほしい」という方がいらっしゃいます。例えば結婚した時に似顔絵を描いた夫婦が、今度は子供と一緒に訪れてくれる。人生の幸せなタイミングを描くため、お客さんから幸せをわけてもらい、次の絵の活力にしています。

似顔絵師は「待ち」の職業なんです。お客さんのおかげで続けられる、必要としてくれる人がいるから続けられる職業です。東日本大震災や新型コロナウイルスも経験しましたが、お客さんのおかげで続けられていることは本当にありがたいことです。

およそ15年間、仙台市の宮町というエリアにスタジオを構えています。宮町は「東照宮」という江戸時代に建てられた神社をはじめ古い神社やお寺があり、商店街も古い歴史があります。その歴史のある宮町エリアの手ぬぐいを制作しました。大学時代は文学部で日本史の研究をしていたこともあり、大学で教わった先生にもアドバイスを頂きながら手ぬぐいのどんなことが将来に活きるのかわからないものだなと思います。

また、宮町エリアのフリーペーパーの表紙を書いていました。桜祭りや七夕、秋祭りなどの四季折々の風景や昭和時代の風景を描きました。宮町の商店街の方々が面白い方が多く、この街で似顔絵を描くことに喜びを感じています。

誰にも負けない強みを持とう

高校時代はもう15年ほど前になりますが、「時間の謎 タイムマシン製造法」というテーマで探究活動を行っていました。時間を超えて過去や未来に旅することができる「タイムマシン」を作る方法を論文や本から調べました。そこからわからないことを調べる方法、楽しさを学ぶことができました。ぜひみなさんにも探究活動を通して色々なことに興味を持ってほしいと思います。

専門学校で講師もしていますが、そこでは学生のみなさんに「これなら誰にも負けないという強みを持とう」と伝えています。私も似顔絵師の世界大会に3度出場したことがあります。世界中から似顔絵師200人が集まり、その技術を競うのですが、海外の方が描く似顔絵からのエネルギーが強く、とても刺激を受けました。これからも世界大会に出場しながら、似顔絵の腕を磨いていきたいと思います。

おすすめの本
夏目漱石「こころ」(文響社)

漱石が描く時代の変化と、現在の時勢の変化が共通していて、人間は変わらないものであることに気づいた1冊。


ピーター・ドラッカーの著作

ドラッカーは有名な経営学者で数多くの本が出版されています。過去に書かれた社会の予想がかなり実現してきているのがわかります。海外の研究者ですが日本語訳は難しくないため、読みやすいです。

(本の情報:国立国会図書館サーチ)

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この記事を書いた人

東京大学教育学部卒業後、全国紙の新聞記者として広島総局・姫路支局に勤務し事件事故、高校野球、教育、選挙など幅広い分野を取材。民間企業を経て、2021年に株式会社オーナーを起業し、本教材「探究百科GATEWAY」を開発し編集長を務める。

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