言葉の力で、その土地の魅力を伝える

2020年に出身地である兵庫県から福島県西会津町へ移住し、コピーライターとしてwebサイトやパンフレットの制作、ローカルwebメディアの編集長などを務めている西道紗恵さん。コピーライターってどんな仕事なのか、なぜ福島に移住したのか、福島でどんな活動をしているのか。西道さんの人生の歩み方を聞いてみました。

目次

◆取り組みのきっかけ

わたしは大学3年生になるまで教師を目指していたんです。教師になりたいと思ったきっかけは、中学3年生の時の担任の先生がすごく情熱に溢れた人で、「私も先生になって、生徒の人生を後押ししたい」と思ったから。その夢を叶えるために、教育系の大学へ進学しました。でも実際に先生になるための勉強をしてみて、自分には合わないなと思ったんです。もっと、いろんな世界を見てみたい。いろんな人や物事にふれて、自分の視野を広げたい。そんな想いがむくむくと芽生えて、わたしは教師への道から離れることにしました。

そして、出会ったのが「コピーライター」という職業でした。皆さんはコピーライターって、聞いたことはありますか?webサイトやパンフレット、ポスターなどの広告や広報物をつくる「広告業界」で文章を担当している人のことで、具体的には人に取材をしたり、調べものをしたりしながら、ことばを通して魅力を伝える仕事をしています。

コピーライターに出会ったきっかけは、大学の先輩からの紹介。

「コピーライターの知り合いがいるんだけど、西道に合うかな?と思って。よかったら働いてみない?」と声をかけられて、わたしはコピーライターの道に進んでみることにしたのです。理由は「なんとなく楽しそうだから。それに、文章を書くのは嫌いではないから」。そんなざっくりとした理由だったけど、やってみるとすごく楽しかったんですよね。

例えば、携わる領域がとにかく幅広いこと。わたしがこれまでに携わってきた事例で言うと、化粧品メーカー、旅行会社、航空業界、病院、大学、交通機関、商業施設、自治体などなど。仕事を通して、いろんな領域の取り組みにふれることができるんです。出張や取材の機会も多く、これまでに2回シンガポールへのロケに行ったこともあります。(実はYoutubeとパンフレットにモデルとして出演したことも!笑)

わたしは好奇心旺盛で、いろんな世界を見てみたい、知りたいという気持ちが強い人なので、まさにピッタリの職業だったのです。

とても充実した日々だったけれど、またわたしの中で新しい好奇心がむくむくと芽生えはじめたのです。

「今まで行ったことのない場所や地域で、ゼロから活動をはじめてみたい…!」

わたしは兵庫県出身で、大学と就職先は大阪でしたから、生まれてから28年間関西から出たことがなかったのです。そんな時に、福島県西会津町の人たちと出会う機会があり、人生で一度も行ったことがない「東北・福島・会津」という場所に強く惹かれました。

行ったことがないから、どんな場所なのかは検討もつきません。「東北だし寒そう」というざっくりとしたイメージだけ。それでも、「行ってみたい」「福島で何かやってみたい」という好奇心がわたしの背中を押し、2020年春に福島県西会津町へ移住しました。

◆どんな取り組みをしているか

移住してからは、コピーライターの専門性を生かし、福島県各地の魅力を発見・発信する仕事をしています。例えば、西会津町のおいしいお米を全国へ発信するブランドブックの企画制作をしたり、葛尾村の移住促進にかかわるwebサイトやパンフレットをつくったり、福島県の観光サイト制作に携わったり。そうした取り組みの中で、福島で活躍する人に取材をしたり、惚れ惚れするような風景に出会えたりして、福島のいいところにたくさんふれることができました。

例えば、春も、夏も、秋も、冬も、福島の自然は美しいところ。食に恵まれているところ。厳しい環境の中で自然と共生する「つよさ」と「しなやかさ」を備えている人たち。まるで家族のように支えてくれる地域のみなさん。

挙げるとキリがないくらい、福島ってものすごいパワーと可能性を秘めている場所なんです。そんな福島の魅力を、もっと県内外の人に知ってほしいという想いから、フリーマガジン『ニシアイズカン』の発行や、ローカルwebメディア『real local郡山』の編集長を務め、福島に住んでいる人も、福島に住んでいない人も、福島がより好きになったり、興味を持ってもらえたりするような活動を展開しています。

◆未来へ向けて・高校生へのメッセージ

まさか自分が東北・福島へ移住し、活動するなんて思いもしませんでした。わたしが高校生や大学生の時を振り返っても、そんな人生プランはちっとも描いていなかったです。人それぞれ、進路や将来の考え方は違うと思うけど、わたしが大事にしているのは「自分の気持ちに嘘をつかないこと」。

ずっと教師になりたいと思っていたはずなのに辞めたのも、コピーライターの道に進んだのも、縁のなかった東北・福島へ移住したのも、「自分の気持ちに嘘をつきたくなかった」から。自分がよりわくわくする方向へ、舵をきってみたかったのです。その先どうなるのか分からないし不安もあったけど、ここでチャレンジしないと、きっと後悔する。そんな確信はありました。結果、今わたしはこの道を歩んできたことに一切後悔はないし、わたしらしい人生だなと納得しています。自分の人生、自分で舵をにぎるのが、いちばん楽しいんです。だから、わたしはこの先も、自分の気持ちに正直でいたい。その分、責任も覚悟も背負うことになるんですけどね。

やりたいことが決まっている人、まだぼんやりしている人、それすらも見えていなくて迷ってる人、皆さんそれぞれだと思います。ぜひ忘れないでほしいのが、「自分が強く望めば、何者にだってなれるし、どこへでも行けるんだ」ということ。

その道のりは決して楽なものではないと思います。でも欲しいものが簡単に手に入っちゃうなんて、それはそれでつまらなくないですか?いっぱい悩んで、壁にぶつかって、皆さんなりの手法で乗り越えて、その先にある「本当の宝物」をぜひ手に入れてください。

あなたへの問い

もしあなたが「コピーライター」だったら、どんなことを表現したいですか?理由と一緒に考えてみよう。

◆おすすめの本

アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫) 

パウロ・コエーリョ  (著)、山川 紘矢 (翻訳)、 山川 亜希子 (翻訳)

主人公が「宝物」を求めて世界を旅するお話です。旅の道中で彼が探し求めていた本当の「宝物」とは何かを知り、人生で大事なことは何なのかを旅を通して学びます。この本から、自分にとって大事なものは何なのか、そしてそれを得るために忘れてはならないことに気づくことができました。これから先、人生という長旅に踏み出す高校生の皆さんの羅針盤となる一冊としておすすめしたいです。


写真提供=西道さん

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