地元・会津で人とつながる場を作る

福島県会津若松市に2022年1月にできたコワーキングスペース「Aizu-BASE」。

会津大学の目の前にあり、主に学生が利用することを目的に作られた施設です。コワーキングスペースとしてはもちろん、企業と学生が交流できるイベントを行うなど、学生に新たな可能性を見つけてもらうための場所にもなっています。今回は、この施設を立ち上げたメンバーの1人であり、運営・管理を行っている、株式会社オーダーメイドジャパンの貝沼諭依(ゆい)さんにお話を伺いました。

目次

◆取り組みのきっかけ

私は会津若松市の出身で、ずっと会津地方に住んでいます。地元の公立大学・会津大学に進学し、学生時代にはAizu Active Association(アイヅ アクティブ アソシエーション)というサークルに所属していました。会津の地域の方々と一緒に、伝統野菜を作る農家さんや、会津にある企業の社長さんなどと一緒にボランティアやイベントを行うサークルです。コロナ禍以降は、従来行っていた外での活動は頻繁に行えなくなってしまいましたが、テイクアウトができる飲食店を集めたWEBサイトを制作するなどコロナ禍ならではの面白い企画を実施してきました。

元々地元が好きだったので、卒業してからは会津のベンチャー企業に就職しました。そこでの仕事もやりがいがありましたが、もっと地元の人や、会津大学の学生と関われる仕事をしたいと思っていました。

Aizu-BASE内の写真

学生時代から地元・会津に関わる

会津伝統農業に携わった学生時代

今後の進路について悩んでいた時、転機が訪れます。私は会津大学を卒業してからも、サークルで一緒だった仲間と頻繁に連絡を取っていたのですが、ある日1人の仲間から「僕の知り合いが、会津に住んでいる人で、学生と関わることや地域活性化に興味ある人を探しているんだよね」というメッセージがきました。その”知り合い”というのが、私が今所属している株式会社オーダーメイドジャパン代表の中野友登さんだったのです。

その当時は中野さんのことも、オーダーメイドジャパンという会社のことも何も知らなかったため、正直どうなんだろうなと思っていました。ですが、メッセージをくれた元サークル仲間から「この条件にぴったりなのは諭依くんしかいないよ!まずは直接会って話をしてみてほしい」と言われ、中野さんと初めて会うことになったのです。

中野さんは福島県福島市にある「Fukushima-BASE」というコワーキングスペースを運営している方でした。中野さんは「会津にも一緒にコワーキングスペースを作ろう。会津大学の近くで、学生が福島県内に残ってくれるような仕組み作りができる施設を作りたい」という思いを私に話してくださいました。私がやりたいことと中野さんがやりたいことが合致していてとても話が弾みました。

会津大学の学生と多く関われる環境で、会津大学の学生が将来も福島に残りたいと思ってくれるような仕組みを作るという仕事内容に強く惹かれ、中野さんと共に会津でコワーキングスペースを立ち上げることを決意しました。

◆会津の学生に、福島に残ってほしい

実は私も、「Aizu-BASE」のような場所を作りたいとずっと思っていたのです。それは、会津大学の学生の県内就職率が低いと感じていたからです。会津大学は日本初のコンピュータ理工学専門大学として1993年に設立され、授業でも高度なコンピュータ技術を習い、習得できます。しかし、その習得した技術を十分に活かせる環境が福島には足りません。そのため、会津大学の学生の卒業生のうち、福島県に残る学生は少ないという現状があります。その現状を打破するためには、会津大学の学生と地域の繋がりをもっと深め、卒業後に福島県内に残って仕事をしたいと思ってもらえるような環境を作ることが必要だと強く考えていたのです。

また、会津大学の学生への想いに加えて、私自身も会津で頑張っている若者の一人になりたいと思っていたことも「Aizu-BASE」立ち上げに臨んだ理由の1つです。私が「Aizu-BASE」を作ることで、ほかの若者たちに「会津で頑張っている人がいるんだ」と知ってもらえるきっかけになったらいいなと思ったのです。そのきっかけから、会津で挑戦する若者が増えて欲しい。挑戦する若者が集って、互いに成長しあえる環境を創りたい。それまで務めていたベンチャー企業を退職し、2021年10月に株式会社オーダーメイドジャパンに入社、2022年1月に「Aizu-BASE」を立ち上げました。

◆どんな取り組みをしているか

「Aizu-BASE」の運営をメインとして行っています。今は私も運営に入っていますが、ゆくゆくは学生自身が「Aizu-BASE」の環境を作って、学生達だけで運営できる仕組みにしたいと思っています。そのために、「Aizu-BASE」に来てくれた会津大学の学生同士が、学部や学年関係なく上手く打ち解けられるような仕組みや、学生が自分たちだけで運用できるようにするための仕組みを作っているところです。いわば今後の「Aizu-BASE」の”土台”となる部分を作っている段階ですね。そして、今後「Aizu-BASE」でイベントを開催していく予定なので、その準備も行っています。イベントの一例として、学生と企業をつなぐ「キャリアマッチング」というオンライン企業説明会を行う予定です。会津大学の学生が、卒業後も福島県内でスキルを活かした働き方ができるように、就職活動中の学生と企業さんを繋げる「キャリアマッチング」を今後開催していきます。

私は「Aizu-BASE」の運営以外にも色々な業務を行っていますが、毎日楽しみながら仕事をしています。所属する会社の経営理念は「繋がる人の特別になる」です。この理念に私も強く同感し、繋がる人1人1人とかけがえのない「仲間」として、充実した仕事をしたいと思っています。私は「楽しい」という気持ちが人を動かす上で最も重要な要素だと思います。今後も「楽しい」という気持ちを大切に、仲間と共に毎日ワクワクしながら仕事をしていきたいです。

◆未来へ向けて・高校生へのメッセージ

会津大学生にとって、大学以外のもう一つの居場所として「Aizu-BASE」が存在してくれたら嬉しいです。また、企業さんとの繋がりを深めて「新たなきっかけ」となる場所にしたいなとも考えています。学生が卒業後も県内で仕事をしたいと思ってくれるようなきっかけを作りたいです。学生にとっては、県外の方が魅力的に見えてしまうのもわかりますが、そもそも福島県内の企業についてあまり知らない学生が多数いると思います。そんな学生のために、「県内にもこんな面白い企業があるんだ!」「福島ではこんな挑戦をしている人もいるんだ…」と、福島での働き方について魅力を最大限お伝えしたいと思います。「福島県内(特に会津)に残る」という選択肢を増やしてあげられる場所にしたいです。

高校生のみなさんへのメッセージとしては、高校生のうちにぜひ社会のコミュニティに出てみてください。家族や先生以外の大人と関わったり、普段関わる機会がない人と出会える場所に行ってみたりしてほしいです。今、高校を卒業したら地元を離れる人も多いと思いますが、高校生のうちにとにかく色々なところに足を運んで、自分の経験を増やしてください。

そして何より私の願いは、自分の地域についてもっと知ってほしい。私はずっと会津に住んでいる分、会津への思い入れが強いので、特に会津の魅力を知ってもらいたいです。私は大学のサークルで、農家さんや社長さんと出会いましたが、本当に面白い方ばかりで、今振り返ってもとても良い経験だったと心から思います。生粋の会津人ですが、実際に直接学びに行くまで知らなかったことが沢山ありましたし、「会津ってこんなに面白いんだ」って気付かされました。そして、自分が会津のことをもっと好きになるきっかけにもなりました。だからこそ、高校生のうちにもっと自分の地域の魅力や面白い大人を知ってほしいなと思います。皆さんがこれからの人生で一度県外に出たとしても、いつかまた福島に戻ってきてもらえたら嬉しいです。福島にいる今のうちに、ぜひ自分の住んでいる地域や、会津の魅力を知る第一歩を踏み出してほしいと思います!

探究テーマを広げる問い

地元に就職する人を増やすためには、どのような取り組みが考えられますか?3つ以上考えてみよう。

カテゴリ:地域

◆おすすめの本

星新一のショートショートシリーズ

普通では考えられないような発想やアイディアが沢山あって、とても考えさせられる本です。このシリーズは、綺麗事だけではなく社会問題や人間関係において書くことが多く、明るい気持ちになる内容だけありません。ですが、自分の行動を別な角度・視点で見ることができるようになると思います。また、SFの短編集ということで非常に読みやすいので、本を読むことに慣れていない方にもおすすめです。


写真提供=貝沼さん

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