環境教育とはちみつを通じた地域づくり

カテゴリ:食

宮城県富谷市で環境教育を行うNPO法人SCRの福井公美子さん。なぜはちみつに着目したカフェ「いい茶や」を開いたのか、そして今後どんな展望をもっているのか。地域全体で子どもたちを育てたいという福井さんのストーリーをぜひお聞きください。

1. 課題に取り組んだきっかけ

「いい茶や」を運営するNPO法人SCRは、今から10年前に立ち上がりました。当時、地域で行われていた勉強会に出席したのですが、そこでは様々なスキルをもった女性が集まっていました。栄養士、調理師、歯科衛生士、お花の先生、ピアノの先生、介護士など。「一人では難しいけれど、みんなが集まったらだれかのためにスキルを生かすことができるんじゃないか」と話し合ったことがきっかけで、女性10人でNPO法人SCRを立ち上げました。

NPO法人SCRの活動の最初の目的は、子どもたちに向けた環境教育。小さい子どもを抱えるメンバーも多かったことから、「地域の豊かな自然環境を子どもたちに体験して欲しい。地元を大事に思って欲しい。」という想いが共通していました。山の日に森林公園でお祝いイベントを開催したり、親子向けダム見学ツアーを開催したりするなど自然活動を行っています。     

はちみつを使った料理を提供する「いい茶や」を「とみやど」でオープンするきっかけになったのは、自然活動の一環で木育を行っていたことでした。子どもたちと一緒に間伐材を使った木工品づくりをしており、作品の一つとしてはちの巣箱を作っていたのですが、当時富谷市でも、はちみつを名産品にしようという構想がありました。そこから市や住民が協働したはちみつのプロジェクトが立ち上がり、採蜜するための巣枠づくり、はちが蜜を吸うための野菜作り、ミツバチの天敵のスズメバチ対策など様々なはちのお世話を行っています。当初は生産したはちみつの販売のみ行っていましたが、より多くの方に味わってもらえるようにと「いい茶や」をオープンさせました。お店では、はちみつを使った料理やドリンクを提供しています。

2. 解決に向けた取り組み 

一見すると順風満帆に見えるこの活動ですが、初めから上手くいっていたわけではありません。

活動を始めたばかりの頃は、私たちに実績がなく、森林公園を使って活動がしたいといってもなかなか実現することができませんでした。しかし、どうしてもやりたかった私たちは、みんなでお揃いのつなぎを買って、森林組合にお願いして森林の間伐や道路沿いの草刈りなどを積極的に行いました。それが目立ったのか、徐々に活動を認知され、行政と一緒に活動ができるまでになりました。また、メンバーみんなが子どもたちへの環境教育や食育に対する想いが強かったこと、柔軟で忍耐強い女性の集まりだったことも成功の要因になったのだと思います。

はちみつプロジェクトは、スタッフ15人、ボランティア30人ほどが関わっています。ボランティアは子どもからお年寄りまで幅広い年代が集まっていますが、「はちみつを生産する」という目標は一つなので、地域のコミュニティづくりにもつながっています。参加者からは、「自分の住む地域が自然豊かなまちだと再認識できた」という声や、「自分たちが手間暇かけた野菜やはちみつをお店で食べることができてやりがいがある」といった声をいただいています。

今、核家族が増えており子どもは大人と関わる機会が減ってしまいました。子どもたちにはこのような活動を通し、昔の日本のように地域のたくさんの大人と出会い、交流し、選択肢や可能性を広げて欲しいと願っています。

3. 未来に向けて・高校生へのメッセージ

NPO法人SCRの活動は今年で10年目になります。今後は、これまでの活動を次の世代につなげるため、新しいメンバーを育てていきたいと考えています。

私個人としては、以前はちみつの勉強のため訪れたイタリアの養蜂場にもう一度修行しに行きたいです。

私はこれまでの活動を通してはちみつの魅力に取り憑かれていきました。はちは「環境指標生物」と言われていて、環境が良い地域にしか住んでいません。つまり、富谷ではちみつを生産できるということは、自然が豊かであるという証拠です。また、私たちは動物や植物の命をいただいていますが、はちみつは、はちが吸ってきた蜜と水だけでできています。犠牲を出さず、自然の材料だけでできあがることも魅力の一つです。さらに、はちには人間と同じように社会があることも面白いです。女王バチを中心に社会ができており、働きバチは生まれた時から掃除や門番、幼虫の世話など、成長と共に仕事を役割分担しているのです。しかし、たった30〜40日程度しか生きることができないはちは、一生をかけてティースプーン1杯ほどの蜜しか集めることができません。その尊さにも魅力を感じています。

養蜂はヨーロッパ、特にイタリアは歴史が長い地域です。以前お手伝いをしたときに「またおいでよ」と言ってもらったので、夫と二人で語学を学びながら現地で本格的に養蜂を学ぶことが今の目標です。

そんな私が高校生のみなさんに伝えたいことは3つです。

一つ目は、人生に間違いはないということです。やってみて違うなと違和感を感じたら別な道に進むという選択もあります。社会人になってからまた大学に行くこともできるので、一つの考えにこだわる必要はないと思います。

二つ目は、年齢関係なく「まずやってみよう精神」を大切にして欲しいということです。やりたいことを発信すると、不思議と声がかかったりします。そこで躊躇せずやってみると、人脈はもちろん世界が広がります。思いがなければ今に満足してしまうので、まず思いを持ってみることから始めてみることをおすすめします。

三つ目は、高校時代に仲間づくりをしておくことです。一人の力では難しいことでも、何人か集まると大きな力になることがあります。卒業してからも作ることはできますが、まずは今、近くにいる人を大事にしてみてください。

あなたへの問い

この記事を読んで、「仲間」の価値とはどんなことだと感じましたか。理由と一緒に考えてみよう。

カテゴリ:食

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