やりたいことを貫き、全力で挑む。地元福島の健康増進

福島市の株式会社Ito total healthcareで統括マネージャーとして働く松本捷希さん。スポーツや健康に取り組んでいる企業で、従業員の管理や現場での営業・トレーナーまで、さまざまな領域で活躍しています。

東京の大企業から地元企業へ転職した松本さんにはどんな軸があり、現在どんなことにやりがいを感じているのか伺いました。

目次

福島に戻って

私は福島県福島市出身で、県外の大学に進学後東京の大手企業に勤め、26歳のときに福島に戻ってきて今に至ります。

今の会社との出会いは、東京で働いていた時に今の会社の社長と偶然会ったことから始まります。当時は、私は営業、社長はお客様という立場でした。昔からお世話になっていた方で、福島で健康・スポーツ事業を立ち上げたことなど話がはずみ、「うちの会社で働いてほしい」とオファーを受けたんです。私自身、いつか福島に戻るためのスキルアップとして大手企業に就職した側面があったので「早くもそのタイミングがきた」と思い、1週間で転職を決めました。

「ゼロから作り上げるおもしろさ」と「人との繋がり」

現在勤めている株式会社Ito total healthcareは、鍼灸整骨院、美容エステサロン、パーソナルジム、小中学生向けスクール事業(運動の指導)、高校大学への部活外部コーチ・栄養指導事業などに加え、介護施設・福祉施設・障害のある子供たちの施設で運動の楽しさを普及させる事業など、人の健康に関わるさまざまな事業を展開しています。

その中で私は統括マネージャーとして、人材採用や人事評価、各店舗の売上や顧客満足向上のための打ち合わせといった管理職の仕事から、企業や団体への営業活動、ウェブサイトやSNS・チラシ作成などの広報活動、パーソナルジムのトレーナーや学校での講演といったプレイヤーとしての仕事まで幅広く取り組んでいます。

会社の事業も、私自身の仕事も多岐に渡るので大変なこともあります。ですが、私が福島で働いていて感じるのは「自分でゼロから作り上げるおもしろさ」です。
元々働いていた東京の大手企業は良くも悪くも“できあがっている会社”。仕事の幅も、影響力も、給与の面でも、地元企業より何倍も優れているのは確かです。ただ、この会社は「自分がいなくても成り立つ」ということに違和感がありました。
今の会社では、何もないところから自分のやりたいことを考え、何度も試行錯誤し、それを達成させ、仲間と喜び合うことができます。その見返りとして得られるのがやりがいや給与で、それらを「自分の手で増やしている」という実感があったんです。
これは、大手企業では味わえなかった感覚でした。

また地元に帰ってきたことで、自分の母校で講演の仕事ができたり、昔お世話になった先生や美容師さんがジムや整骨院に来てくれ、身体をケアすることができたりしています。人との繋がりや温かさは、地元でなければ味わえなかったことだなと感じています。

福島の健康レベルを上げたい

会社として、特に注目している社会課題が「福島県民の健康レベル」です。
特に震災後、子供たちを外で遊ばせるのが心配だった時期が長く、結果的に子どもの「肥満傾向児」がある年代では全国ワースト1位になってしまったのです。
また高齢になるにつれ下半身が悪くなって動けなくなる人が多いという実態があり、私たちの整骨院にも足腰の弱さから腰が曲がってしまったような患者さんも多くいらっしゃいます。これは車社会で歩く歩数が限られてしまうという影響があるのではないかと思います。

問題なのは、肥満傾向のある子どもたちも足腰の弱くなった高齢者も、「そうなってからでは治すのが難しい」ということなんです。
では、そうならないよう予防ができないかと考え、パーソナルジムや小中学生向けのスクール事業が始まりました。
パーソナルジムを手掛ける他の会社と違って、社会課題や地元の人たちの困り・課題が私たちの事業のきっかけとなり、その人たちの力になりたいという思いが私たちの原動力になっています。「お金は万能だけどすべてじゃない。健康がすべてだ。」という考えのもと、会社としても、私個人としてもできることに取り組んでいます。

やりたいことに全力を投じる

実は、学生時代の私を振り返ると、どちらかというと「逃げてきた人生」だったと思います。高校は進学校に進んだものの、周りとの差がつき勉強が面白くなくなってしまったんです。そこで学校を休んでしまったこともあります。ある意味「やりたくないことから逃げた」ことを反省しています。

また部活動では、「勝てる種目」を選んで勝負していました。やりたい種目にはライバルが多いから、それで負けるくらいならと人気のない種目に逃げたんです。結果的に地方大会では成績を残せても、全国大会にはもっと強い人がいて負けてしまいました。「自分はやりたくないことをやって、それで負けて、一体何をやっているんだろう」と落ち込みました。
そんな失敗経験があって、大学では「本当にやりたいことをやろう」と部活に取り組み、結果的にこれまでで一番いい成績が出せました。学業も、好きな分野なら苦手な教科も苦にならず本当に楽しく勉強できました。やりたいことに全力を投じることで、自分のパフォーマンスが高まることが分かった経験でした。

なので、すでにやりたいことがはっきりしている人は、世間体や周囲の反対なんて気にせず、そこに向かって全力突破していってほしいと思います。勉強して損することはないので、もしまだやりたいことがはっきりしていなかったり、決まっているけど自信がなかったりする人はとにかく勉強することをおすすめします!

 もう一つ伝えたいのは、「福島って、意外と悪くないよ」ということです。今後の進学や就職に向けて、県外の環境を魅力的に思っている人も少なくないと思います。私自身もその一人でしたが、地元に帰ってきて、これまでの繋がりを活かして仕事がうまくいったことや、自分が地元の役に立っているというやりがいを感じられ、結果的に稼ぐこともできています。環境は自分の努力次第でどこでも作ることができます。福島で頑張っている若手、面白い企業は皆さんが思う以上にたくさんあるので、ぜひ探してみてください!

おすすめの本
安藤広大「リーダーの仮面」(ダイヤモンド社)
安藤広大「数値化の鬼」(ダイヤモンド社)

会社の管理職向けのビジネス書なのですが、「学生のうちに読んでも参考になっただろうな」と思った2冊です。

(本の情報:国立国会図書館サーチ)

写真提供=松本さん

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この記事を書いた人

地域で挑戦する人や企業を豊かにすることを目的とした福島創業のチーム。 ライターやデザイナー、映像クリエイター、エンジニア等といったプロが集まり、 各々の専門スキルや個性を活かしながら、関わるお客様や地域の資本を豊かにするため活動している。

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