理学療法士として、身体と心のケアで笑顔を創る

福島市で妊活・産後・自律神経ケアを行うヘルスケアサロン「umbrella(アンブレラ)」オーナーの内海晋吾さん。元々は「理学療法士」として医療機関に従事していた時の知識や経験を活かし、現在は「整体師」として店を構え、お客様1人1人に寄り添ったケアを行っています。「自分が関わることで人を笑顔にしたい」という内海さんのストーリーをぜひお読みください。

※「妊活」とは妊娠活動の略で、妊娠を望む方が行う様々な準備の総称。具体的には、生活習慣の見直しや栄養摂取、基礎体温の記録などがあります。

目次

「理学療法士」という仕事を通して

私はサロンをオープンするまで「理学療法士」として医療機関に勤めていました。

※「理学療法士」とは、けがや病気などで思うように身体を動かせない患者さんのために、少しでも回復して自立した日常生活を送って頂けるようにリハビリテーションを行う、国家資格が必須となる職業です。

 そもそも私が「理学療法士」を志したきっかけ。それは、学生時代に陸上でけがに悩まされた時、「理学療法士」の方が心身ともにケアをしてくれたことです。

 また、私の祖母が脳卒中になった時にも「理学療法士」の方に沢山お世話になっていて、リハビリによって少しずつ身体が動くようになり、笑顔が取り戻される祖母を見ていた私はリハビリの大切さを実感しました。身体のケアだけでなく、心のケアも行ってくれた「理学療法士」の方に強い感謝と憧れの気持ちを抱いていたのを鮮明に覚えています。

 このきっかけから、「理学療法士」の国家試験に挑戦し、合格後は東京の総合病院に就職をしました。私は関東出身で福島に縁もゆかりもありませんでしたが、ある日福島の病院へ出向を命じられました。そして福島で妻と出会い、結婚を機に東京勤務を終えて福島の病院で勤務することになりました。

 福島に来てからも数年間病院に勤務しましたが、「本当に自分のやりたいことは何なのだろう」と自問自答することが多くなりました。そして出た答えは「自分が関わることで人を笑顔にすること」。「理学療法士」=やりたいことではなく、「理学療法士」という仕事を通して患者さんを笑顔にすることにやりがいを見出していたことに気付きました。つまり、「理学療法士」は”目的”ではなく”手段”の1つでしかないということ。「理学療法士」にこだわらずとも、私のやりたいことは達成できるのではないかと考えるようになりました。どうすれば人を笑顔にできるかを考えてみると、「理学療法士」としての知識と経験全てを合わせた健康づくり「ヘルスケア」があることに気づきました。「ヘルスケア」で、関わる人を笑顔にしたいという想いが芽生えました。

そして、「理学療法士」は医師からの指示を受けて患者さんにリハビリを施すため、個人の判断で何かを提案するのは厳しい仕事でした。また、病院で勤務している場合、副業が難しく、個人として自由に活動することに難しさを感じていました。その中でもたった一度きりの人生、本当にやりたいことを自由にやりきるために、制限のない場所で挑戦してみようと決意しました。病院を退職し、1年半ほど勉強や経験を積んだのちに2021年の8月、福島市にてヘルスケアサロン「umbrella」をオープンさせました。

「末病」をケアする

 ヘルスケアサロン「umbrella」では、妊活に取り組まれているご夫婦のサポートをメインに、その他産後ケアや自律神経ケア、ホルモンバランスケアにも取り組んでいます。サロンにした理由は「未病」と呼ばれる便秘や不眠、生理痛といった「病気ではないけれど、身体にストレスをかける症状」を徹底的にケアしていきたいと思ったためです。「理学療法士」として病院に勤務していたころ、ご病気で通院される方と多く会ってきました。

 その中で、先天的なものや事故によるものなど、予期せずして発症した方がいる一方で、生活習慣が整っていないために発症した患者さんにも多く出会いました。このような患者さんと出会い、「そもそも病気にならないような生活・健康習慣を定着させることができれば、後悔する人が減るのではないか」と思い、サロンという形で「ヘルスケア」を行い、「未病」をケアしていこうと決意したのです。

 サロンをオープンするまでは、本当に多くの苦労がありました。元々病院に勤務していた私は、お店の作り方や独立の仕方を全く知りませんでした。しかし、そこで大切にしていたのは「失敗するのは当たり前」という考え方。やったことがないことをやっているのだから、失敗するのは当然なのです。大切なのは、失敗した後にその経験をいかに今後に生かすかだと思います。失敗を失敗で終わらせず、経験として捉え続けることで必ずうまくいく時がやってきます。辛い思いを経験しつつも、私のヘルスケアによって笑顔になってくれる方を想像してひたすらに行動し続け、無事オープンさせることができました。

 私は「umbrella」でお客さんへのサポートをするほかにも、セミナーや講演の活動も行っています。オフライン・オンラインを問わず実施しており、「ヘルスケア」に興味がある方々に私の知識や経験、想いを伝えるために実施しています。また、郡山やフルーツラインで開催されたマルシェにも「ヘルスケア」を目的としたヘッドスパや整体を行う出張参加も行いました。

 そして、2022年度9月末にはよもぎ蒸し専門店「Herbs(ハーブス)」をオープン。私は現場には立たず、従業員の方を雇っての経営になりますが、同じく県内でヘルスケアサロンを経営されているお二方と共同で立ち上げました。3人に共通しているのは、「ヘルスケアでお客様の身体と心の健康を目指す」ということ。やっている内容は異なるものの、「ヘルスケア」という同じ分野で活動している仲間同士が集まると、浮かび上がってくる課題や目標は通ずるものが沢山あります。どの内容においても、特に女性の「冷え」による症状が多いという課題から、女性特有のお悩みに特化したよもぎ蒸しのお店を開くという解決策を見つけたのです。「umbrella」自体は私が1人で経営・運営していますが、地域に同じ分野で活躍している熱い仲間がいると、もっとより良く面白い地域になっていくので嬉しいですね。

 現代は本当に多くのストレスがかかる社会だと感じています。SNSやインターネットが普及し、情報がいつでも、どこでも、誰でも簡単に手に入る時代になったからこそ、情報に振り回されて心身にストレスがかかってしまうと感じています。また、新型コロナウイルスによって生活が抑圧され、身体も心も悲鳴をあげている方が多くいらっしゃいます。病気ではないものの本来あるべきではない症状(頭痛、不眠、生理痛…)を抱えている人がいらっしゃる今だからこそ、親身になってケアを行い、心のよりどころとなれるような存在を目指していきたいと思います。

おすすめの本
小倉広「もしアドラーが上司だったら」(プレジデント社)

アドラー心理学を分かりやすく解説した本で、人間関係、仕事、恋愛…何にでも応用が利く面白い本なのでぜひお読みください

(本の情報:国立国会図書館サーチ)

写真提供=内海さん

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この記事を書いた人

地域で挑戦する人や企業を豊かにすることを目的とした福島創業のチーム。 ライターやデザイナー、映像クリエイター、エンジニア等といったプロが集まり、 各々の専門スキルや個性を活かしながら、関わるお客様や地域の資本を豊かにするため活動している。

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